29歳のグレー Vol.14

仕事や恋愛に白黒つけられず彷徨っている彼らが、覚悟を決めて1歩を踏み出したら…「29歳のグレー」全話総集編

29歳―。

それは、節目の30歳を目前に控え、誰もが焦りや葛藤を抱く年齢だ。

仕事や恋愛、結婚など、決断しなければならない場面が増えるにもかかわらず、考えれば考えるほど正解がわからなくなる。

白黒つけられず、グレーの中を彷徨っている彼らが、覚悟を決めて1歩を踏み出すとき、一体何が起こるのか…。

「29歳のグレー」一挙に全話おさらい!

第1話:「30歳になったら結婚しよう」かつて約束していた女が、目の前に現れて…

「ねえ、前野」

恵美の呼びかけに、「んん?」と彼女に視線を移す。

「前野ってさ、結婚してるの?」

胸の内を見透かされた気分になり、智也はドキッとさせられる。

「いや、してないけど…。なんで?」
「あの約束。覚えてる?」

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第2話:同窓会で憧れていた女子に再会したら…。変わり果てていたうえに、衝撃の事実を告げられ

『前野君、LINE届いてなかったかな?念のためもう1度送るね』

昼休み、智也はスマホを眺めながら頭を悩ませる。昨日、同窓会で飛鳥と再会し、朝起きるとさっそくお誘いのLINEが届いていた。

『よかったら近々お食事にでも行きませんか?』

続いて、日時と場所の提示されたメッセージも届いた。いったん保留にして出勤すると、昼には返事を催促されていた。

― はぁ…。まさかこんな面倒なことになるなんて…。

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第3話:「最近、デートのお誘いが減ったかも…」焦った29歳女が駆け込んだ意外な場所とは

職場で、恵理は20代前半の後輩たちを眺めながらぼんやりと考えた。

体重も体型も維持しているし、顔もさほど変わっていない。それなのに、どうにも埋めがたい差があるように思える。

恵理は、年齢差のある社員を見比べながら、ハッと息をのむ。

― そうだ。後ろ姿だ!

若い後輩たちは、後ろ姿からでも溌溂とした様子が伝わってくる。まるで背中からエネルギーでも放っているかのように…。

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第4話:「女同士でつるむのが、急につまらなくなった…」29歳女に訪れた気持ちの変化とは…

目の前の若菜と梨沙は、年齢も4つ下で25歳。まだ若く、溌剌としていて活力に満ちにあふれている。

恵理は、キラキラとした姿を羨ましく思い、彼女たちのような“肉体的な若さ”を取り戻すためにボクシングを始めたはずだった。

だが、今こうして一緒にいても、まるで魅力を感じないのだ。むしろ、会話をしていても虚しく思えて仕方ない。

― 美しさ…って、なんなんだろう。

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第5話:「30歳を過ぎると市場価値が下がる!?」焦った女がマッチングアプリで19歳上の男と知り合うも…

「年上なら、いくつでもいいって言っても、自分の年齢が上がれば、年上の独身男性は年々減ってくるよ」

晴夏のいう通り、職場でも後輩が増え、年下扱いされる機会も減ってきている。

「それに、歳をとっても結婚しないで残ってる人って、何かしら問題があるから残ってるんだから」
「モラハラとか、持病を持っているとか…?」
「あと…犯罪者とか…」
「ええ…。怖いこと言わないでくださいよ」
「まあ、ちゃんとした人選びたいなら、婚活は早く始めたほうがいいよ。試しに登録だけでもしておいたら?」

悠梨はあまり乗り気ではなかったが、晴夏のレクチャーを受けながら、マッチングアプリに登録することになった。

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第6話:アプリで出会った19歳上の男と温泉旅行に。ホテルでうち明けられた衝撃的な事実とは

週末、悠梨は和生の運転する車の助手席に座っていた。

「急に温泉旅行なんて…迷惑ではありませんでしたか?」
「いえ、ちょうど予定が空いていたので。声をかけて頂いて嬉しいです」
「そうですか。いやぁ、お誘いして良かった!」

和生が上機嫌でハンドルを切る。

週の初めに和生から連絡が届き、温泉リゾートホテルに誘われたのだ。なんでも、オーナーが和生の会社の顧客らしく、招待を受けたとのこと。ただ、2人きりというわけではないが…。

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第7話:同棲するつもりで借りた芝浦のタワマン。引越当日に彼が来なくて、問い詰めたら衝撃の返事が

「修平、何言ってるの?一緒に住めないって…どういうこと?」

美佳は、電話口でうろたえる。

湾岸エリア芝浦に建つタワーマンションの一室。夕方でもまだ強く陽の光が差し込み、荷物の運び込まれたばかりの雑多な空間を照らす。

内見を終えたのは、2ヶ月前。窓からのオーシャンビューを修平が気に入り、一緒にこの部屋で暮らし始める…はずだった。

それが、引っ越し当日の今日、LINEの返信がなく、修平の荷物もいっこうに運ばれてこないことを不審に思い電話をかけてみたのだ。

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第8話:ある日突然、2ヶ月前に別れた元彼が訪ねてきて…。男が放った信じられない一言とは

22時頃、店を出た。タクシーで芝浦のタワーマンションに戻ってくる。

ひんやりとした海からの風を受けながら、少し急ぎ足でエントランスに向かう。途中、怜子が不意に立ち止まる。

「どうしたんですか?」

美佳が声をかけるが、前を向いたまま動かない。

エントランス脇に植え込みがあり、その前のベンチに座っている男性に、視線が注がれていた。

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第9話:“そろそろ彼と結婚“と思っていた矢先、発覚した衝撃の事実。戸惑った29歳女は…

「そっかぁ…。英明さんに決めたんだね」

飛鳥も事情をよく理解している。

英明は、IT関連の会社を経営する9歳上のお金持ち。祐也は身長185センチのスタイル抜群のイケメン。

どちらも特別感を与えてくれる男性だが、将来を見据えたとき、パートナーとして選ぶべきは英明のほうだと春香は判断した。

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第10話:「こんな冴えない女と?」元彼が結婚相手に、自分より地味女を選んだことを知った29歳女は…

「へえ、ここが祐也君の浮気相手が働いているお店ね。素敵なところじゃない」

飛鳥が店内を見回しながら感嘆の声を漏らす。

春香は、祐也の2股をかけた相手がどんな女性なのかを確かめるため、飛鳥を連れて、新橋にある店を訪れた。カウンター8席と、テーブル席が僅かにある、小料理屋風の居酒屋だ。

「お待たせしました。こちら『まぐろの山かけ』になります」

まさにその女性が、作務衣姿で接客にあたり、カウンター席に座る春香たちに料理を運んできた。

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第11話:「ダメってわかってるけど…」躾の厳しい両親に育てられた女が、変な男にハマるワケ

「留学ってことは、しばらく日本を離れるんだよね?仕事はどうするの?」
「仕事は、辞めようかなってる」
「文乃にしては、ずいぶん思い切った決断だね」
「うん!20代のうちに行きたいなって。今は彼氏もいないし、いいタイミングかなと思ってる」

文乃は、いつかはフランス留学の夢を叶えたいという願望を抱き続けていたが、30歳を目前にした今が、その最後のチャンスのような気がしている。

ようやく、その一歩を踏み出す準備を始めたところだった。

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第12話:元カレから半年ぶりに誘われ食事に…。男の最低な言動に女が愕然としたワケ

― リュカ君、この髪気に入ってくれるかな。

実は、リュカの大好きなアニメ『ONE PIECE』に登場する、女性キャラクターの容姿に寄せて、文乃はイメージチェンジしてみたのだ。

店に着き、真央が入口のドアを開けると、早速リュカが出迎える。

「いらっしゃいませ…」

リュカと目が合う。すると、その表情が一瞬曇ったように文乃は感じた。

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第13話:29歳ハイスペ男が“収入と肩書き”を捨てて…!?どうしても諦めきれない夢とは

― あの味が、忘れられなかったんだよな…。

今でも、人生史上一番美味しい蕎麦だと思っている。

圭太は自分で蕎麦を打つようになり、味の再現を試みるようになった。記憶をたどり、試行錯誤を重ね、ようやくその味に近いものが作れるようになったと思えたころ、父親が亡くなった。

― 食べて欲しかったけど…。

会話すらままならなかった父親に、せめてもの親孝行と抱いていた思いは、叶わずに終わった。

第13話の続きはこちら

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