大人のためだけの和食酒場4選。楽しく飲める、渋谷のイマドキ店の魅力に迫る!

渋谷って、若者向けの大衆居酒屋しかないんでしょ?

心の中でそうつぶやいたそこの貴方!その思い込みを今すぐ捨てられる、大人が満足出来るイマドキ和食酒場を紹介しよう。

イマドキ店は、“料理が美味しくて居心地いい”はあたりまえ。そこに“誰でも気軽に誘いやすい”が加わるのが、最大にして最高の特徴。

気の置けない同僚や恋人とワイワイ飲みたい時にふさわしい、普段使いにぴったりの名店揃いなのだ。



※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。

1.遊び心あふれるスピークイージーに好奇心が刺激される
『ゑすじ郎』


店があるのは渋谷と原宿のちょうど中間に位置する雑居ビルの一室。

無骨な外観と突如出現する洒落た店内とのギャップが秀逸で、表向きは酒場に見えないアメリカの“スピークイージー”のよう。

そして料理やお酒の意外性にも目を見張る。

雑居ビルにひっそりと佇む世界的バーグループの新業態

カジュアルにまとめつつ、アートやオブジェをちりばめた店内。正面の作品は、国内外で活躍するジョージ・ハヤシさんによるもの


あの『The SG Club』が2021年にオープンさせた『ゑすじ郎』は、バーは敷居が高いという人にもと、あえて居酒屋スタイルを踏襲。

イーストビレッジの酒場をイメージした店内は、数々の受賞歴を持つ空間デザイナー・杉山敦彦さんが担当したもの。

シャビーな入口の先に広がる洒脱な空間には、誰もが虚をつかれる。

エレベーターで上がると、右手にエントランスが出現。ここにも看板はなく、廃墟にあるような鉄扉は開けるのをためらうほどだ


驚くのはそれだけではない。シェフは、NYに“IZAKAYA”ブームを巻き起こした『Saka Mai』の厨房で働いた古河厚志さん。

同店で育んだ豊かな感性はここでも存分に発揮され、例えばポテトサラダはラーメンそっくりのビジュアルで提供。

〆の混ぜ麺には、遊び心あふれる隠しオプションが用意される。


「ラーメンポテトサラダ」880円。

豚骨スープを練り込んだポテトサラダにたまごやチャーシューがのり、食べてもラーメンなテイストにびっくり!


アジと薬味をパレットに見立てた「なめろうパレット」1,210円。一列ずつすくっていただく。



レモンサワーは、アルコールやフレーバー違いで全18種類をラインナップ。

提供されるものにはどれもひと癖があり、ふたりの好奇心はいやが上にも刺激されるのだ。

“世界一の手間”をかけるレモンサワーは全18種類!


右.ペルーの蒸留酒を用いたカクテルのような「ペルー風レモンサワー」1,650円。

左.レモンチェロが濃厚な「濃醇甘口レモンサワー」1,100円。


右.パナマの高級コーヒー「ゲイシャ」が香る「ゲイシャでレモンサワー」1,320円。

左.仕込みに2日かけるというシグネチャー「本気のレモンサワー」990円。

「雲丹とボーンマローの混ぜ麺」2,860円。ボーンマロー(=牛骨髄)をこそいでコラーゲンを取り出し、うにとともに太麺に絡めて。濃厚な旨みがあふれるひと皿だ


麺を食べ終えた後に隠しオプションを頼むと、牛骨レールに「SG Shochu」のショットを注ぎ、口から流し込んでくれる。

残った脂も余さず味わえるのだ。

イマドキの人気店とのコラボイベントにも注目!


満月の夜に不定期で、さまざまなレストランとのイベントを開催。

写真は“台湾小皿料理”で人気の虎ノ門『Ryukyu Chinese Stand TAMA』とコラボしたひと幕だ。

■店舗概要
住所:渋谷区神南1-9-4 NCビル 2F
TEL:050-3173-0608
営業時間:17:00~23:00
定休日:不定休
席数:カウンター6席、テーブル30席

2.温もりとセンスが共存した心地よいカウンターを知る愉悦
『炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店』


あらゆるタイプの酒場が密集する渋谷だが、デートで訪れて寛げる空気感と、洒落た料理がともにそろうところは稀有。

円山町に潜む、この店は間違いのない選択肢になる。

円山町のディープな通りに大人好みの酒場は潜む


暖色系の灯りが照らす店内は落ち着いた雰囲気で、コの字型のカウンターにふたりで陣取れば、そこはもう別世界。

目の前に赤々とゆらめく炭火が見え、通りの喧騒とは無縁の、上質な時間が流れる。

1日の終わりにふたりでしっぽり飲む至福。できたての料理に身も心も満たされる

店内はテーブル席もあるが、炭火調理が間近で見られて、ライブ感も味わえるカウンターが特等席。さりげなく配されたイサム・ノグチの照明も美しく灯る


『炭焼居酒場 IGOR COSY 渋谷本店』は、代々木上原『メゾン サンカントサンク』など数々の人気店を手掛ける丸山智博さんが監修を務める。

居心地の良さを追求した酒場だから、“居酒場”。

料理は炭火焼きがメインだが、フレンチの技を応用した酒肴もあり、例えばマスカルポーネを忍ばせたクリーミーなポテサラなど、酒場の定番を上品にグレードアップ。

フレンチの技を用いたひと皿や新感覚の焼酎が醸す感度の高さ


「ずわい蟹とマスカルポーネのポテトサラダ」(800円)は、マヨネーズも自家製でクリーミー。

ディルが香る大人仕様で、カニのほぐし身もたっぷりと入る。


餡にホタテを加え、うにとの相性を考慮。

柑橘の香りがする葉と蒸し上げた「名物 雲丹焼売 ライムリーフ」980円。

夜の帳が下りると黄色く光る入口のネオンサインも、お洒落でイマドキだ


センスの良さはお皿と盛りつけにも現れ、飾られた調度品もまたお洒落。

大人が好むツボを押さえた空間で通いたくなるのだ。

味わい深いベトナムのヴィンテージ食器も!


作家による一点ものも多いが、素朴な絵付け皿は60年代ベトナム製。

ソンベ焼きやオールドバッチャン焼きなど貴重なヴィンテージをそろえる。


放し飼いで育つ銘柄鶏をサッと炙る。肉質はしっかりしていて、噛めば噛むほど旨みがあふれる。

「名物 黒岩土鶏のたたき」1,200円。


原始焼きでじっくりと香ばしく。自家製のマヨネーズは酸味控えめで甘みも。

「大海老 アイオリマヨネーズ添え 一匹」600円。

個性あふれる焼酎を多数ラインナップ!


若手杜氏が感性を生かして仕込む注目銘柄を厳選。

ソーヴィニョン・ブランから採取した酵母で醸す「蔵の師魂」、話題の芋焼酎「DAIYAME」、SG Groupのオリジナル「SG SHOCHU」など。グラス 560円~。



お酒は本格焼酎を推奨。個性的な造り手による銘柄や、出汁割りなど飲み方も工夫しており、女性でも楽しめる。

こんな店が人知れず潜むのだから渋谷は面白い。

■店舗概要
住所:渋谷区円山町1-3 猪鼻ビル 1F
TEL:03-5456-5230
営業時間:17:00~(L.O.22:30)
定休日:月曜 ※祝日の場合、火曜
席数:カウンター13席、テーブル28席

3.気のきく大人の二軒目はサクッと絶品に酔いしれて
『KAMERA』


「しぶや百軒店商店街」は、今や大人のための新スポット。

「二軒目どうする?」の問いかけに備えるならば、カジュアルだけど間違いがない上質な酒場を知っておきたい。

男なら導き出したい道玄坂で「もう一軒」の模範解答

怪しいブルーのネオンが印象的なファサードは、賑やかな通りにありながらも存在感抜群。入口には外飲みできるベンチや、テイクアウトの窓口となる小窓も


古き良き飲み屋街だった“しぶや百軒店”は、今や次世代の人気店が軒を連ね、感度の高いエリアに成長しつつある。

中でも、気鋭のデザイナーが手掛けたスタイリッシュな空間で話題なのが『KAMERA』。フラッと立ち寄れる立ち飲みスタイルは気楽で、二軒目使いにもってこい。

オーナーはIT起業家の目良慶太さん、料理を監修するのが人気フレンチのシェフという、ハイブリッドな組み合わせがまたイマドキだ。

ウーロン茶ハイは全部で3種類。さわやかな「台湾四季春(シキハル)」、香り華やかな「鳳凰単叢(ホウオウタンソウ)」、力強い「岩茶武夷水仙(ガンチャブイスイセン)」など味わいの異なる茶葉を楽しめる。各650円


台湾で烏龍茶に目覚めたという目良さんは、香りも味も別格のウーロンハイを看板メニューにと考案。

グラスを特注し、茶葉の香りが滞留する広口で味わいを高めている。

もうひとつの名物である焼売はフレンチの技法を用いて肉を熟成させるなど、中華の枠にとらわれない。

手前から時計回りに、肉肉しい「山形豚の熟成焼売」550円、水餃子風の「富士鶏と豆腐の水焼売」550円、スパイシーな「仔羊と黒米の熟成焼売」770円


「渋谷は少し外れたエリアが面白い」と目良さん。

一見ディープなエリアになじみの二軒目を持てば、デートでも大きなアドバンテージに。

美味しいだけじゃない「カルチャーのある店」が渋谷をますます元気にしている。

【サクッと焼売】
\でも/フレンチシェフがレシピを監修


「山形豚の熟成焼売」には、味が濃く熟成に適した山形豚を使用。細挽きをメインに、手切りした肉も加えて食感の絶妙なバランスを実現している。

世界各国のスパイスを使って、焼売の味わいにアクセントと深みを加えている。花椒や八角をはじめ、多種多様なラインナップがズラリ。

大きめのセイロは特注品で、店のロゴ入りだ。

一品料理とカクテルも絶品!

「ひまわりよだれ鶏」(1,100円)は、フレンチの技法で中はしっとり、皮はカリッと仕上げた。特製のマンゴーチリソースがさわやか


【サクッとウーロンハイ】
\でも/“高級評茶師”と素材を厳選


中国茶のソムリエともいえる、中国政府認定の高級評茶師が茶葉をセレクト。

ハイクオリティな中国茶から個性の違う3種を選んだ。


手前から台湾産「台湾四季春」、広東省産「鳳凰単叢」、福建省産「岩茶武夷水仙」。

『篠崎酒造』に特注した麦焼酎。烏龍茶を引き立てるために蒸溜時に鉄観音などの茶葉を加えるひと工夫を施す。


カシスリキュールのエスプーマがお洒落な「究極のカシスウーロン」880円。

青のネオン看板もスタイリッシュ!


クリエイティブディレクターを務める「UNTRACE」の小野清詞さんがデザインした、オリジナルTシャツも買える。

■店舗概要
住所:渋谷区道玄坂2-20-5 1F
TEL:050-3552-4065
営業時間:【月~金】18:00~25:00
     【土】18:00~24:00
     【日】18:00~23:00
定休日:不定休
席数:スタンディング30

4.正統派だけど肩肘張らないおまかせ8,000円の心地よさ
『和食割烹 やまぼうし』


落ち着いた雰囲気で大人が行きつけにする店も多い並木橋。同エリアに誕生してまだ1年だが、“やまぼうし”はぜひリストに加えたい一軒。

京懐石を学んだ店主がこなれた価格で本物を提供する。

名店で研鑽を積んだ実力派が志す、渋谷ならではの和食店


店主の小池正浩さんは、政財界や文化人御用達の料亭『紀尾井町 福田家』出身。

キャリアの原点は京都で、祇園の懐石料理店の他、木屋町の割烹でも修業を重ね、日本料理の本流を学んできた。だから、出汁にこだわるのは当たり前。

あらゆる料理で一番だしを使い、その旨みを存分に生かしたおまかせコースを、8,000円という良心的な価格設定で提供している。


数寄屋造りの店内。煤竹(すすだけ)の丸窓や松の古木を使ったカウンターなど、趣がある。


右上.【先付】コースの冒頭を飾る定番は茶碗蒸し。冬は百合根とクリームチーズが具材に使われており、トッピングは雲子。生海苔の餡も温まる。

右下.【小鉢】甘い冬キャベツと春菊を細く切りそろえ、ごま和えに。豚の時雨煮が味わいのアクセントとして効果的。煎ったごまも心地よく香る。

左上.【刺身】素材そのままではなく、昆布締めなど、ひと手間を加えるのがキモ。この日はキジハタを焼き霜造りに。ハヤトウリの土佐和えを添えた。

左下.【御凌ぎ】大葉が香るシャリに北海道産ムラサキうにといくら。練りうにを合わせた黄身醤油が個性的で仕上げにスジアオノリ。備前焼も美しい。



「水は、出汁がしっかり引ける超軟水の〝観音温泉水〞を探し出しました」。

本流を知った上で、独自の工夫も加えるのが小池さんの流儀。

昆布は細かく割って旨みを引き出し、鰹節はあえて血合の入った部分も使って、たっぷりと。そうすることでパンチの効いた出汁に仕立てている。


右上.【揚物】三陸広田湾産の立派な牡蠣は贅沢にフライに。アオサ入りの衣は磯の香りが豊か。パルミジャーノチーズを仕上げにたっぷりスライス。

右下.【煮物】熱々の治部煮をA4黒毛和牛のもも肉と下仁田ねぎでアレンジ。食感が楽しい花びら茸や茶エノキ、黒舞茸を添えて味に深みも加えた。

左上.【八寸】揚物と焼物で構成された異色の八寸で、この日はハモの海老しんじょう包み揚げや鶏チューリップ、黒豚の炭火焼き、カジキの幽庵焼き、サザエ壷焼きなど。

左下.【食事】初春は鯛の土鍋ご飯。出汁の旨みも際立つ〆で、菜花やいくら、松葉柚子も加わって彩り豊か。仕上げに香ばしい桜エビを振りかける。



終盤に八寸が登場する流れは京懐石だが、盛り込む肴は焼物や揚物が中心と、これまた想定外な展開。

「そのままがイヤなんです(笑)」。


【甘味】旬の果物を使ったソルベで食後はサッパリ。今日はラ・フランス。イチゴとフランボワーズを添えた。自家製キウイソースも相性抜群。

+3,000円の飲み放題に感嘆!


「敷居は低く」と日本料理店では珍しく、飲み放題を用意。

メニューにあるすべての日本酒、焼酎、ワインが組み込まれる他、生酒など季節限定の銘柄も対象となる。

限定酒や生ビールも好きなだけ飲めて、かなりお得だ。



食後の充足感は圧倒的で、格式を尊ぶ日本料理らしからぬ居心地の良さは、カジュアルなデートにも最適。

実を重んじた姿勢がイマドキに映る。


並木橋交差点近くにあるビル2階にひっそりと佇み、夜になると温かな行燈が灯る。

■店舗概要
住所:渋谷区渋谷3-14-3 渋谷Nビル 2F
TEL:03-5962-7562
営業時間:18:00~(L.O.20:30)
定休日:日曜
席数:カウンター8席



渋谷という街には、大人のためだけに用意されたイマドキ酒場がちゃんとある。

さあ、今宵はあいつを誘って、サクッと一杯、行ってみる?

プレゼン終わりの“労い”をするには、どれも最高の一軒に違いない。


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