今年も残りわずか。仕事納めをして、大掃除や年越しの準備に忙しくしている人も多いのでは?
おせちの仕込みや帰省、挨拶回りなど、いつの時代も女性がやるべきことは盛りだくさん。
しかし、忙しさにかまけて貴方のマナーがおざなりになっていたとしたら…。せっかくの準備も料理も台無しになってしまうだろう。
今回は、女性がついやってしまいがちなお正月の失敗にフォーカスして、その正しい振る舞い方を、5,000人以上の「和の作法」の指導にあたってきたプロから指南いただく。
お正月まであと3日。今からでも、まだまだ間に合う!
淑女として一歩抜きんでるための、今更人には聞けないお正月のマナーを、一緒に学んでいこう。
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教えてくれるのはこの方
日本近代礼法 齊木由香さん
酒蔵を営む家系に生まれ育ち、幼少期より年中行事には和装を着用し、和文化に親しむ。大学にて着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について学ぶ。
一般社団法人日本礼法にて「和の作法」教授資格を取得。同協会の理事を務めた後、日本近代礼法を発足。累計5千人の「和の作法」の指導にあたり、数々のメディアで所作指導・現場監修を手掛ける。
◆
それでは早速、ある1組の新婚夫婦の事例を見ながら、お正月のマナーを学んでいきたい。
Episode:愛子29歳、ようやく手に入れた玉の輿婚。正月が悲劇の始まりに…
「愛子さん。大人として失格よ」
仏頂面のお義母さんは、玄関で見送ろうとした私にそう告げて、去っていった。
今日は1月2日。楽しいお正月になるはずだったのに、なぜこんなことに…。
「俺、父さんたちを表まで見送ってくるわ」
ただならぬ雰囲気を察したのか、夫の大輔が慌てて靴を履きはじめた。
「それなら私も一緒に…」
私がそう返すも、背中を向けたまま「いや、君はいい」と素っ気ない。
靴を履き終えた大輔が玄関のドアを開けると、義理の甥である悠真君の無邪気な声が外から聞こえた。
「愛子おばさん、またね〜」
「うん、また遊びに来てね」
私の返事が終わらぬうちに、玄関のドアは閉まった。
― どうしよう…。やっぱり原因は、私なの?
1人思い悩んだ私がリビングに戻ると、一面ガラス張りの窓の真横に東京タワーが見えた。
◆
29歳の私が、4歳上の大輔と籍を入れたのは昨年10月のことだ。
外資系のコンサル会社に勤務する彼の年収は3,500万円。ハイキャリアなだけでなく顔も整っていて、性格も温厚。
おまけに父親は元官僚で祖父は政治家、母親も大企業の創業一族の生まれで、絵に描いたような御曹司だ。
超が付くほどのハイスペ男子を、よくゲットしたものだと我ながら感心する。
そして入籍直後に新居として購入したのが、この虎ノ門のタワーマンションだった。
「新居も買ったことだしさ、愛子のことを家族にもっと知ってもらいたいから、正月はココにうちの家族を招待しようと思うんだけど、どうかな?」
大輔がそう言い出したのは、新年が数日と迫った12月のことだ。
たしかに、彼の実家とは結婚前の挨拶と両家の顔合わせ、そして結婚式で顔を合わせたきりだった。
「でもまあ、うちの母親はしきたりや礼儀作法にはやたらうるさいから、やめておこうか」
大輔がためらうのをよそに、私は乗り気になった。昔から人を喜ばせて仲良くなるのには自信があるのだ。
「大丈夫、私に任せて」
そう胸を張って、おせち料理やお酒も奮発した。しきたりにうるさいというお義母さんを喜ばせようと、正月のしめ飾りや鏡餅だって用意した。
それなのに12月31日に用意したとわかると顔をしかめられて…。
玄関の戸が開く音がして、リビングに戻ってきた大輔はテーブルに残っていたグラスビールを一気に飲み干した。
「最悪だよ、母さんが君と結婚させたことを後悔しているって。再来月に予定している父さんの古希の祝いにも、君を呼ぶなってさ!」
それは、結婚して初めて見せる大輔のいら立ちだった。
一体、愛子の何がいけなかったのか?
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