港区デイゲーム Vol.1

港区デイゲーム:夜遊び仲間の“悪友”に7年ぶりに再会。環境が変わっても女の友情は成立する?

「数年ぶりに会った第一声が、それ?」

菜々緒は笑いながら、ひとりでシャンパンを飲んでいる。

「きゃ~!サトミ!久しぶりだねぇ」

後からやってきた優子は、美容院でセットしたであろうヘアに、教科書通りのベージュのドレスを着ている。

「優子は相変わらず、ちゃんとしてるわ」
「ん?どういうこと」

私は優子の質問をスルーして、菜々緒に倣い乾杯前のシャンパンをフライングして一口飲んだ。

― なんだか、一瞬で昔に戻れたなぁ。

「なんとなく、ふたりに会えるような気がして出席にしたんだよね」
「え!私も」
「やだ。私もなんだけど」

たいして仲良くない新婦の結婚式で意気投合した私たちは、何度も乾杯をした。

この時は、ただこの同窓会のような時間を楽しもうと思っていた。

ふたりとの再会が、マンネリしていた毎日をガラりと変えてくれるなんて、予想もしていなかったから。




「この年になるとさ、結婚式に何度も呼ばれるじゃない?だから、わかっちゃうんだよね~」

前菜を食べ終わり、すでに2杯のシャンパンを飲み干した私は、グラスを持ち上げながら言った。

「わかる。最初にラベル確認したけど、プロセッコでもカヴァでもなく、ちゃんとシャンパーニュだった」

菜々緒がピアスを揺らしながら答える。

軽く酔っていてもわかるくらい、この結婚式はかなりお金がかかっていることがうかがえる。

装花は豪華で華やかだし、料理も高級食材を惜しみなく使っているからだ。

― ふ~ん。お金持ちをゲットしたのね…。

でも、新婦から結婚報告のLINEをもらった時、彼女がどんな子だったのか、思い出すのに数秒かかった。

それもそのはず。

彼女とは食事会でしか会ったことがなかった。しかも、そのすべてが深夜の西麻布だったのだから。

披露宴にはひとり参加の人も多く、会場の雰囲気からも、新婦に友達が少ないことはすぐわかった。

もしかしたら、友達が減ってしまった理由があるのかもしれない。

そんなことを思っていたら、化粧室から戻った金髪の菜々緒がニヤニヤしながら小声で言う。


「ねぇ、今お化粧室で聞いちゃったんだけど…新婦の子、妥協婚らしいよ。好きな人は他にいるみたい。しかもその男性は既婚だって」
「なにそれ、怖い~!」

優子は、両手で口を押さえながら嘆いた。

― なるほど。結婚相手には愛じゃなく、お金を求めたってことか。

私は妙に納得した。

「ねぇ。私たちだけでニ次会しない?話したいことたくさんあるし。ここ、知らない人ばっかり」

式が終わりに近づき、菜々緒と優子に提案すると、ふたりは笑顔で賛同してくれた。

この記事へのコメント

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No Name
サトミは、早い話同い年の子供がいる優子とだけ仲良くしたいだけだよね。菜々緒の事は眼中に無しって感じは伝わった。
何となくイライラする展開になりそうだわ。
2022/11/12 06:0156返信2件
No Name
また幼稚園受験でも始めるのか?
2022/11/12 06:0131返信1件
No Name
ワインが好きなら、乾杯時や会食中のワイン銘柄気になりますよね〜。ラグジュアリーホテルでも、安いプランだとシャンパンではなくてプロセッコや仏のシャンパーニュ以外で造られたスパークリング出てくるので。
2022/11/12 08:1420返信5件
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