2022.08.20
SPECIAL TALK Vol.95仲間のレベルは桁違い。それでも幸せだった宝塚時代
金丸:憧れの宝塚音楽学校はどうでしたか?
水戸部:入学してからも大変でしたね。周りは3歳からバレエをやってきたような子や、日舞の名取であるような子ばかり。そこにバレエ歴1年半の私がポトッと落とされたわけですから。でもそのせいか、「通行人A」のような役であっても、役をもらえるだけでありがたいという気持ちでいられました。ただ、自分で言うのもなんですが、下手でしたね。歌も踊りも。
金丸:あの、歌劇団なのに歌が下手って、致命的じゃないですか(笑)。
水戸部:そうなんですよ。昔からテストや試験のときに、妙な集中力を発揮することがあって、実力以上の力が発揮できてしまったのかもしれません。あとは1年半しかないからこそ、どうすれば試験に受かるかだけをひたすら考えて。あとは運ですね。
金丸:もちろん、今後の活躍に対する期待もあって合格されたんだと思いますが。
水戸部:ただ、頑張ってはいるものの、自分の舞台人としての限界も見えてくるんですよ。
金丸:それはつらいですね。もしかして「観客のままでいたほうがよかった」と後悔されたことはありますか?
水戸部:それはなかったです。小学生の頃から、すごく好きという気持ちは変わらなかったので。
金丸:多くの人は憧れを抱いていても、「向こう側に行ってみよう」と思い切ることすら難しい。だから合格したというだけでも、もっと胸を張っていいと思いますよ。
水戸部:そうですね。実はファンの方からも「もっと前に出ればいいのに」とか「なんでそんな控えめなの」と言われてしまうくらいで。
金丸:それはもったいない。どんな世界でも、やっぱりほかの人を押しのけていくくらいじゃないと、っていうのはありますよね。
水戸部:もちろん努力していなかったわけではありません。でも、周りの人たちは私以上にもっと努力されていたんだと思います。ただ私は舞台に穴を開けることは無く、むしろ朝、楽屋に行ったら、「○○さんの役をお願いします」と急な代役を頼まれることも多かったですね。
金丸:舞台って、そんなに過酷なんですか?
水戸部:公演前に劇場の近くのマッサージ店に行くと、ほとんどのベッドがタカラジェンヌで埋まってるみたいな感じです。みんなどこかしら痛めていて。
金丸:華やかな舞台の裏では、そんな苦労があるんですね。ところで、宝塚には何年いらしたんですか?
水戸部:学校で学んだのが2年、舞台に立ったのが9年で、計11年です。
金丸:10年以上ってすごいですね。
水戸部:長くいたほうだと思います。私が退団したとき、40人いた同期が一桁の数になっていましたから。入ってすぐ辞める人もいれば、体を痛めてしまう人もいる。私も最後は足を痛めてしまって。
金丸:11年間で、一番思い出のある演目はなんですか?
水戸部:どれも思い出深いのですが、今思い浮かんだのは『ウエスト・サイド・ストーリー』ですね。
金丸:ちょっと前にスティーヴン・スピルバーグ監督の映画もありましたね。
水戸部:その映画、私も観たんですが、懐かしくなってちょっと泣いてしまいました。宝塚って、新人だけでやる公演と本公演があって、私は新人公演では白人グループのジェット団、本公演ではプエルトリコ系のシャーク団を演じました。同じ作品の敵同士を両方できて、すごく面白かったですね。ただ、振付家が外国人の先生だったので大変でした。私は男役だけど男ではない。原作もあるので、男性がやるような振りを踊らなければならない。
金丸:それって力技とかですか?
水戸部:そうです。女役の役者さんをリフトで持ち上げることもありました。
金丸:演技力や歌唱力だけじゃなく、筋力まで要求されるんですね。
水戸部:歌劇団付きの振付家の先生は、私たちが女性であることをわかった上で、単純に筋力で持ち上げるのではなく、遠心力をうまく使った振り付けを考えてくださいます。でも、外国人の先生が担当されると、ホイッと腕の力で持ち上げるような振り付けに(笑)。「すみません、それは無理です」って心の中で思ってしまいました(笑)。
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