キリっとしたのど越し、鼻腔を抜ける芳しい香りにスタイリッシュな佇まい、和食との相性。
さまざまな角度から見ても高いポテンシャルを秘めた一杯。それが「ジンソーダ」だ。
ここ数年で新たに食中酒の定番として指名する人が増え、“静かなるブーム”が起きている。
トレンドに敏感な人間をも唸らせる、その奥深き魅力とは?
どこよりも早く希少部位を提供し、大人たちを驚かせた人気焼き鳥店『白金 酉玉』
「広告代理店に勤めて、そろそろ10年。大きな仕事も任せてもらえるようになり、やりがいを感じる日々を過ごしています」
そう目に力を宿らせて話すのは30代前半、大手広告代理店に勤務するコピーライター。
「趣味で始めたインスタグラムでは、こだわりを感じた料理や店を投稿していたら、知らぬ間にフォロワーも増え、嬉しい気持ちとともにプレッシャーも感じます(笑)」と、グルメ系インフルエンサーとしての隠れた顔も持つ。
そんな彼がこの日、友人を誘って足を運んだのは『白金 酉玉 別館』。
“陸の孤島”とも称される恵比寿2丁目界隈は、言わずと知れた美食エリア。
タクシーで乗り付けてまでも訪れたいと思わせる、そんな店が多いことからそう呼ばれる。
中でも『白金 酉玉 別館』は、15年以上変わらず、連夜盛況が続く人気店だ。
「僕にとっては“間違いない店”。カジュアルすぎない黒を基調としたシックな空間は落ち着くし、希少部位をはじめ、どの串も絶品。気負いなく誰かと語らう夜にはぴったりの店なんです」
この界隈では考えられないほど良心的な価格設定も、 オーナーが“適正価格”にこだわるがゆえ。
「おかげさまで20代から通わせてもらっています。今日は久しぶり。初めて連れてくる人に絶対にすすめる“名物”もあるんです。愉しみです」
待ち合わせ時間ぴったりに『白金 酉玉 別館』に到着。
すると、友人がこっち!と手を挙げている姿が見えた。
「友人、といってもまだ知り合ったばかり。趣味がゴルフということで意気投合した食品メーカーのPRとして働く、同年代の女性です。
2人だけで食事をするのは、今日が初めて。デート、という感じでもないんですが、多少の緊張は否めないですね」
幸いにも店長が顔を覚えてくれていて、“お久しぶりです!”とにこやかにカウンターへと通してくれた。
「この店はいつ来ても、酒好きのツボを熟知したドリンクがラインナップされているのが魅力ですね。カウンターからのぞくズラリと並んだ“おすすめ”にもそそられますが…」と少し悩んだ彼がオーダーしたのはROKUのソーダ割。
「最近のお気に入りなんです」
すると、店長も静かに頷いた。
トレンドに敏感な男が『ROKU』に魅了されたワケとは?
広告代理店勤務の彼がハマっているというジン。
近頃、飲食店で愉しむ人を目にする機会も増えたが、彼に鮮烈な第一印象を抱かせたのは『サントリー ジャパニーズ クラフトジン ROKU(六)』だったという。
「初めて出合った時は、そのキリっとした味わいと、想像以上に食事に合うことに驚いたことを覚えています。
ボトルを見せてもらうと、高級感のある和モダンなデザインに“六”という文字があしらわれていて。日本のジンなのか!と、さらに驚かされて。
それがきっかけで興味を覚え、自分で色々調べました。新しい物との出合いって、なんだがワクワクしますよね」
その結果知ったのは、世界60ヶ国以上で“プレミアムジン”として評価が高まっている日本発のクラフトジンだということ。
また「必要最小限の和素材のみを使用してつくられた」というこだわりにも、職人魂を感じたと彼は語る。
「春の桜花と桜葉、夏の煎茶と玉露、秋の山椒、冬の柚子。チョイスされた素材がそれぞれの四季を代表していて、とてもストーリーを感じますよね。
さらに使用する6種類すべて、ベストなタイミングで手摘みで収穫するという丁寧な仕事にも感動しました。
ジンらしいキレはありながらも繊細で柔らかい香りが鼻を抜けていく。それは鮮度をキープすることを徹底するから生まれるんだな、と」
早速、運ばれたグラスを口に運ぶ。「そう、これ。やっぱり美味しい」と思わずつぶやいた。