2022.03.19
SPECIAL TALK Vol.90運動、カロリー、栄養素……。最先端の研究と常識のギャップ
金丸:課題ははっきりしたし、解決の糸口も見つかった。でも商品化には至らない。そんな段階が一番もどかしいですね。
岡部:ほんとにそのとおりです。私には25〜26歳で転機がふたつあって、ひとつは、ヒップスラストをサポートする器具「グルーツビルダー」との出合いです。毎年ドイツでヨーロッパ最大のフィットネス展示会が開催されていて、東京ビッグサイトの8倍もあるような会場を見て回っているときに、たまたま「グルーツビルダー」が展示してあり。すぐさま駆け寄りました。
金丸:世界中でまだほとんど知られていないトレーニングなのに、そのための器具と出合うことができたなんて、奇跡ですね!
岡部:すごいですよね。ほとんどの人が素通りしているのを尻目に、ブースにいた製作者に声をかけると、「この器具の素晴らしさがわかる人がいるなんて!」と驚かれました(笑)。翌日も会って話し込み、「グルーツビルダー」を輸入することに決めたんですが、当時は個人事業主なので信用もなく。
金丸:それで法人にする決意をしたのですね。
岡部:はい。それに個人ではなく、チームでやろうと思うようになったもうひとつのきっかけは、盲腸になったことです。簡単な手術ですが、さすがにしばらくは仕事を休まないといけない。当時は1日に12〜13人の来客があり、トレーニングだけで1日12時間、それを365日やっていましたから。
金丸:凄まじいですね。加えて自分自身のトレーニングや研究もしなきゃいけないわけでしょ。それだけ仕事をしていると、生活リズムが崩れてしまいそうです。
岡部:当時は食材を全部宅配で届けてもらい、外に出るのはゴミ捨てのときくらいでした。でも、盲腸になって自分が動けなくなると、ビジネスが完全にストップ。「このままひとりで続けるのは危険だ」と痛感しました。
金丸:それに、岡部さんの目標は「ひとりでトレーナーをすること」ではなくて、日本の女性や日本全体の意識を変えることです。そういう目標は、仲間がいてこそ達成できるものだと思います。
岡部:そのとおりですね。ただ、お尻のトレーニングが広まって事業を拡大していくうちに、いろいろと嫌な思いや悲しい思いもしました。私と一緒に働いていた子が辞めてしまったこともあります。辞める子がいるときは、自分を責めたりこれから同じことが起きないようにと、こちら側が直せることがあるかを学ばせてもらっています。トレーナー業は10年以上やっていますが、経営やマネージメントはまだまだスキルアップしなければいけないと思っています。
金丸:われわれIT業界は、ほかに比べて人材の流動性が高い業界ですから、その気持ちはとてもよくわかります。一生懸命育てても、スッと辞めていく人がいる。私も悲しい思いや悔しい思いを何度もしました。でも去る人を追うのではなく、残ってくれている社員や、これから入社してくる人たちのことを考えようと決めてから、あまり引きずらなくなりました。
岡部:そうですよね。私もそういう人たちは、外部の営業部隊だと考えるようにしています。大臀筋に限らず、日本のトレーニングには、まだまだ遅れているところがあります。それに栄養についての考え方も古い。私たちのチームが最先端を走っていれば、そこから飛び出していった人たちも、少なくとも従来の考えよりはいいものを広めてくれるはずです。私たちが伝えているのは、ただの正しいトレーニングではなく、モヤモヤしていたものがトレーニングでスッキリしたとか、精神面の強化にも関係しています。トレーニングはただのツールであり、そこにはお金では買えない、人と人との信頼関係が構築されます。たとえAIでトレーニングができる時代になっても、絶対に負けない人同士のつながりを大事にしたジムを目指したいですね。同じような啓蒙をしている方もたくさん出てきましたが、フィットネス業界全体で見ると啓蒙が広がっているチャンスです。どんなきっかけでもいいので、健康になるためのフィットネスに出合うきっかけが増えることは、いいことだと思っています。
金丸:ところで、岡部さんは栄養についてはどのようにお考えですか?
岡部:まず、カロリーという数字自体は気にしません。というのも、そもそもカロリーは石炭を燃やしたときのエネルギーを測定するための尺度なので。
金丸:なるほど。人体は石炭を燃やしてエネルギーにしているわけじゃないですからね。
岡部:その代わり、私は細胞が何を必要としているかにこだわります。細胞のなかにあるミトコンドリアが、人間が生きていくためのエネルギーを生み出すからです。
金丸:面白い!「細胞にこだわる」なんて初めて聞きました。
岡部:実は強い細胞を作る上で大切なのが良質な脂肪なんです。だから脂質をいいかたちで摂る一方で、酸化した油やトランス脂肪酸は一切摂りません。
金丸:タンパク質や糖質はどうですか?
岡部:タンパク質はどんなにいいものでも酸性です。細胞のなかは、pH7.4と弱アルカリ性なので、酸性のものばかり摂っていると体内環境もその酸性を通常のpHに戻すことが体にとっては労力になります。だから、アルカリ性の野菜やフルーツと一緒に中和させながら食べるようにしています。
金丸:なるほど。私はグレープフルーツをよく食べるのですが。
岡部:いいですね。グレープフルーツはアルカリ性ですから。でも、フルーツのなかでも桃やメロン、マンゴーといった甘さを感じる果物は、酸性なんですよ。
金丸:フルーツだったら何でもいいというわけじゃないんですね。
岡部:あと糖質は、食後の血糖値を測って自分に必要な量を把握したうえで、酵素玄米で摂っています。糖質を目の敵にする人が増えていますが、一度に自分が処理しきれない量の糖質を摂ることで、体内がダメージを受けるのが問題なのであって、糖質自体は細胞に必要なんです。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
2024.05.21
Vol.116
~多くの人の期待と希望を背負う街づくりほど、面白い仕事はない。~
2024.04.19
Vol.115
~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
2024.02.21
Vol.113
~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~
おすすめ記事
2022.02.21
SPECIAL TALK Vol.89
~失敗したからこそ挑戦を恐れなくなった女優の新しいカタチを切り拓きたい~
- PR
2024.11.20
銀座で女性と過ごす夜。アイリッシュウイスキーが引き寄せた、2人だけの密やかな高揚とは
2015.02.05
絶対に負けられない接待が、今宵はある
絶対に負けられない接待が、今宵はある:『琥珀宮』編
2023.06.07
ハラスメント探偵~解決編~
「休日に上司からのLINEを無視したら評価を下げられた!」これってパワハラ?:ハラスメント探偵【解決編】
- PR
2024.11.18
総勢100名に当たる!西友&東急ストアで「スプリングバレー」を買って東カレ厳選グルメをもらおう!
- PR
2024.11.21
クリスマスは絶景を望むホテルデートへ!彼女がワッと喜ぶ、とっておきの夜を丸の内で過ごすなら…
2016.10.17
彼が言うなら間違いない!松岡修造が伝授する“デキる人”になるための10ケ条
2023.07.05
ハラスメント探偵~解決編~
「君にはパッションが足りない!」他の社員がいる中で、上司が大声で叱責。これってパワハラ?
2015.11.02
出張のお供に!名古屋の誰もが笑顔になる“お値打ち”な厳選4店
2016.02.01
中国ビジネス関係者必携!日本で唯一の中国歳事が全網羅のカレンダー登場
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"