SPECIAL TALK Vol.88

~夢を語るのが得意。人工知能を武器に日本人の働き方を変えたい~

起業してからは、苦しい時期も長かった

金丸:起業されたとき、メンバーは何人いたのですか?

平野:仲のよかった4人で起業しました。みんな学生の技術者で。

金丸:おっと。それって、起業で失敗しがちなパターンですよ。4人というのは、スタートとしては多すぎるし、もともと仲がいい人の集まりだと、役割分担も不明瞭になってしまって。

平野:おっしゃるとおりです。役割分担ができていなかったことは、その後、かなり尾を引きました。

金丸:それに、優れた技術者を集めれば企業としてやっていける、というわけでもありません。サッカーだと、フォワード11人で試合するようなもので、キーパーやディフェンダーもいないと相手と戦えない。営業担当、技術担当と役割を分けた2人組でも、起業するには十分だと思います。

平野:ほんの15年前ですけど、当時はそういうことを教えてくれる人が周りにいなかったんですよね。起業するためにどういうことに気をつけるべきかなんて、調べても見つからなかったし。

金丸:今なら起業して成功した人の話も、失敗した人の話も、ウェブ上にいっぱい転がっていますからね。

平野:私も失敗はたくさん経験しました。

金丸:その4人とは、今も一緒なんですか?

平野:ひとりは一緒ですが、ふたりは違うところに。

金丸:しかたないですね。ところで、起業するときの資金はどう捻出したのですか?みんなで出し合ったとか?

平野:いえ。経済産業省の「未踏ソフトウェア創造事業」に応募して、ありがたいことに採択されました。

金丸:先進的なアイデアや技術を持つ人を発掘するための事業ですね。

平野:合計で3,000万円くらい調達できたので、それを元手に。「未踏ソフトウェア創造事業」のおかげで起業できたようなものです。

金丸:1社目からAIのサービスを提供したんですよね?

平野:そうです。最近でこそAIは注目されていますが、当時はまったくといってもいい状況で。サービス自体には自信がありましたが、その良さを理解して買ってもらうところまでは、なかなかたどり着かず。AIと直接関係のない受託開発がメインでしたね。

金丸:苦しい時期ですね。

平野:最終的にmixiから声をかけられて、サービスとメンバー、まるごとジョインすることになりました。それも起業して4、5年たってからです。それからmixiのなかで新規事業の立ち上げなどに取り組みましたが、mixiはすでに大企業になっていて。

金丸:起業家としては物足りなかった?

平野:そうですね。承認を受けるのに時間がかかるのと、グローバルで通用するサービスをやりたいという気持ちが強かったので。なので、mixiを飛び出すことにしました。

金丸:飛び出して、何をされたんですか?

平野:シンガポールで起業を。

金丸:それは凄い。日本すら飛び出したんですね(笑)。

平野:エネルギッシュなアジアをターゲットにビジネスにしたいと思って。現在の「シナモンAI」の前身となる「スパイシー・シナモン」を設立したのが、2012年です。

金丸:スマートフォンやLINEが一気に浸透してきた時期ですね。

平野:はい。「今後、コミュニケーションはもっとビジュアル寄りになる」と感じて、写真や動画を扱えるコミュニケーションツールを開発したんです。

金丸:インスタグラムやTikTokのようなサービスですか?

平野:まさに。ただ、読み切れていなかったのが、「ビジュアルコミュニケーションは、言語の壁を簡単に越えてしまう」ということ。アジアの文化だけにフォーカスしたサービスという、独自の強みをなかなか発揮することができませんでした。それでも頑張りましたが、2016年にはシンガポールから撤退し、一度日本に戻ることにしました。

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