今はもう、なんでもないから Vol.7

周囲から“彼の元カノ”と比較される女。思い出の並木道で女が告げた恋の結末とは

あなたは恋人に、こう言ったことがあるだろうか?

「元カレとはもう、なんでもないから」

大人に”過去”はつきものだ。経験した恋愛の数だけ、過去の恋人が存在する。

だから多くの人は、1つの恋を終わらせるごとに、その相手との関係を断ち切っているだろう。

しかし “東京のアッパー層”というごく狭い世界では、恋が終わった相手とも、形を変えて関係が続いていく。

「今はもう、なんでもないから」という言葉とともに…。

◆これまでのあらすじ

婚約中の千秋と健作。しかし、2人と同じ会社に転職してきた雛乃は、健作の中高時代の元カノだった。

「今はただの親友」という2人の言葉に納得し、割り切って友情を見守ることに決めた千秋。

健作の両親に入籍の挨拶に行ったところ、義母に雛乃と比べられていることが判明し落ち込む千秋だが…。

▶前回:「コロナ禍の挙式は諦めて入籍だけにする」彼の発言に義母が話した残酷すぎる本音


夕方になると、もう肌寒い。

休日の夕方6時。『ロイヤルガーデンカフェ青山』のお気に入りのテラス席で、私は健作と向かい合って座っていた。

何度もしたことのある、いつも通りのデート。

いつもと違っているのは、店に入ってからすでに30分近く経つというのに、私と健作が一言も言葉を交わしていないということだった。

カップの中のコーヒーは10月の気温のもとですっかり熱を失い、冷め切ってしまっている。

いつも通りであればこの後、南青山の成城石井かどこかで夕飯の買い物をして、すぐ近くの健作の家にお泊まりをする流れだ。

でも、今日はきっとそういうことにはならないだろう。

ぼんやりと外の景色を眺め続ける私に、根負けしたように健作が言った。

「千秋さん。ちょっと、歩こうか」

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