
丁寧に作られたド定番だから深夜まで美味
フランスと東京で経験を積んだ女性シェフが立ち返ったのは、パリのビストロのまかないや、カフェで親しんだ味。
「定番が一番。だからこそごまかしは通用しない」。その言葉の裏には、駒場東大前『ミラヴィル』時代に叩きあげられた味覚、塩加減、火加減が活きる。今も4種類の塩を使いわけ、下茹でから仕上げの一振りまで、神経を集中して塩梅を見極める。
マヨネーズやコンフィチュールは自家製。疲れた身体を癒すよう、ほのかにビネガーを効かせるのが大塚氏流の思いやりだ。仏時代に通ったマルシェでは、スパイスの魅力にも開眼。例えばアニスを効かせたハチノスやギアラの煮込みは紹介者のビクトル氏もお気に入りで、自店を閉めた後、たびたびスタッフとほお張りに訪れる。