2021.09.30
籠のなかの妻 Vol.2夫は、こんな人だった―?
周りに相談しても、誰も信じてくれない。子どもと一緒に夫の機嫌を伺う日々…。
最近、こんなモラハラ夫に悩む妻が増えている。
有能で高収入な男性ほど、他人を支配しようとする傾向が強い。
優衣(32)も、経営者の夫が突然マンションを買った日から、徐々に自由を失っていく。
広告代理店ウーマンから、高級マンションという“籠”で飼い殺される専業主婦へ。
彼女が夫から逃げ出せる日はくるのだろうか―?
◆これまでのあらすじ
妻・優衣に内緒で原宿にマンションを購入した夫・雄二。引っ越しにともない、子どもの預け先がなくなった優衣は退職を強いられた。慣れない原宿での新生活が始まったが…。
▶前回:年収900万の32歳妻が、退職に追い込まれた驚きの理由
朝8時、夫・雄二が起きる時間に合わせて、優衣は朝食の準備をしていた。
ダイニングテーブルに、近所のベーカリーで購入したクロワッサン、ケールのサラダとヨーグルト、コーヒーを並べる。
雄二は引っ越す以前、自分で朝食を適当にとって仕事に出ていた。だが、会社まで徒歩5分の場所に家を買った今、朝からゆっくり湯船に浸かり、しっかり朝食を食べる時間の余裕ができたのだ。
この家に移ってからは、家族3人で朝食を食べた後、夫を送り出すのが優衣にとっての朝のルーティンになっている。
コーヒーを飲みながら、雄二は機嫌良く優衣に話しかけた。
「原宿に引っ越して来てから、睡眠時間もちゃんと取れてるし、体調がすこぶるいいよ。ところで、このパンどこの?」
雄二の「どこの?」に反応して、優衣は顔を上げる。
「ブレッドワークスのだよ」
以前の彼なら、スーパーの袋詰め食パンでも気にしなかった。しかし、引っ越しを機に妻が退職し、加えてキッチン家電のいくつかをバルミューダに買い替えたことで、自宅での食事に一定のレベルを求めてくるようになってしまったのだ。
「リベイクした?」
「ううん、しなくても美味しいし、してないわ」
優衣の返事に、雄二は表情を曇らせる。
「せっかく美味しくパンが焼けるトースターなんだから、ちゃんと使ってよ」
雄二は呆れたように言う。
「ごめんねー、そうだよね。リベイクするからちょっと待ってて」
優衣はにこやかにパンを皿に取り、キッチンへ向かうが、本心は穏やかではなかった。
― 久我山にいた時なら、パンを焼くくらい自分でやってくれたのに。
家族の時間が増えたことは、純粋に嬉しい。とはいえ、「この家を買った俺に感謝しろ」とばかりに、家事育児の一切に手を出さなくなった夫。優衣の心の中には小さな不満が湧き上がっていた。
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