恋愛クラッシャーな女たち Vol.3

交際半年の彼に、1枚の紙切れを手渡した女。書かれていた内容を見た男は、態度を豹変させ…?

クラッシュしてしまった行動は1or2どっち?
Action1「お互いに高め合っていける関係を目指して、情報を共有しあった」


「私、ここのランチずっと来てみたかったんだ!今度、生徒さんにもオススメしてみようかな」

「僕は昔、たまに来てたんだよね。この店って、どれを選んでも美味しいからさ」

ヨガインストラクターという仕事柄、体作りのため食事には気を使っている。だから元カレから「食の好みが合わない」と言われてしまうことが、たびたびあった。

その点、トレーナーをしている勇太とは何を食べるかで気を揉むことがなくていい。

むしろお互いにとって役立つ情報が得られるくらいだから、外食する店を探すのも、家で料理を作るのも楽しい時間だと思っていた。

それに、いずれ独立して自分のジムを開きたいという勇太の向上心には、いい刺激をもらうことが多い。

― 勇太といると、もっと頑張らなくちゃって思うんだよね。今って、時間もあるし成長するチャンスかも!

こうして、もともと興味のある分野は積極的に勉強するようにしていた私は、以前にも増してセミナーへ参加することが増えた。

「来週開催される、このセミナーが面白そうなんだよね!SNSでも人気のインストラクターが講師なんだけど、勇太知ってる?」

「へー、ちょっと見せて!ていうか紗知って、本当にこういうの見つけるのが上手だよね」

興味ある分野が似ている私たち。だから週末のデートだけでは、話し足りないくらいなのだ。


Action2「調べ物が苦手な彼のため、おすすめのセミナーや資格を探した」


「この筋膜リリースの講座を受けてみようと思うんだけど、どう?実は調べるのって、あんまり得意じゃなくて。紗知がどう思うか聞きたいんだ」

ふいに勇太から打ち明けられて、私は少し得意げになってしまった。

「うーん、いいと思うけど。この前の解剖学の続きを先に受けてみたら?」

すると、それが彼のなかでバチッとハマったらしく、事あるごとに相談を持ち掛けられるようになった。「紗知に聞いて良かったよ」なんて言われると、嬉しくなってつい先回りしてしまう。

「じゃあ、これは?こっちもいいね!勇太は絶対に、この資格を取るべきだと思う」

「いや、本当に助かるよ!ありがとう」

目をキラキラと輝かせながら、資料に目を通す勇太。…彼は、私がいることでもっと成長できる気がする。

― そういえば、勇太って車の免許も持ってなかったよね。これからはあったほうが便利なのかも。

トレーニング道具を電車で運んでいて大変だと話していたし、このご時世、車で移動できたほうが何かとメリットが大きいんじゃないだろうか。

そこで私は、こんな資料を手渡したのだった。

「はい、これ。勇太さあ、まずはこっちなんじゃないかな」

「えっ、ああ。車の免許か」

― あれ?今の顏って…。

ほんの一瞬だったけれど、勇太の口元がピクッと引きつったのを見た。彼の微妙な反応に動揺した私の口からは、思ってもいない言葉が次々と飛び出す。

「ほら、車があったほうがデートもいろいろな所に行きやすいでしょ?それに将来的にも家族が増えたりしたら、車って絶対に必要だと思うんだよね」

「家族って…。そんな先のことまでは考えてなかったな」

「う、うん。そうだよね。ごめん。あ、独立に向けてお金のこととかも勉強するといいかもね。これからお金かかるんだし…」

マシンガンのように話しながら、これじゃあまるで自分が結婚をチラつかせている女みたいだと気づき、口をつぐむ。

勇太がどう思ったのかは分からない。

けれど、そんな私をフォローするでもなく、からかうでもなく。ただ口数が少なくなり、気まずい雰囲気を残したまま、この話は終わったのだった。

その数週間後。

「紗知が勧めてくれた講座で勉強してみることにしたよ!しばらく忙しくなるけど、落ち着いたらこっちから連絡するから」

そう言って、私に相談してくることはパタッとなくなった。

― ああ、失敗したかも。「こっちから連絡する」って、さりげなく私と距離を置こうとしてるんじゃ…?

テーブルの上には、山積みになった資料が残されたまま。

勇太に勧めようと思っていたそれらを横目に、私は途方に暮れたのだった。

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