2021.08.17
柳 忠之のこの12本におまかせ Vol.9うだるような暑さを感じる日は、爽快な気分になれるスパークリングワイン片手にお家飲みするのが最高!
しかし、世界中で美味しいスパークリングが日々研究され次々と誕生しており、数多ある中からどの1本を選ぶべきか迷ってしまうはず。
そこで、ワインのプロに「夏にぴったりのスパークリングワイン」を聞いてみた!
世界のスパークリングが今、どんどん上質に
柳「いや〜、今年のレッドブル・ホンダは強いね。伝統の第5戦モナコGPから破竹の5連勝。宿敵メルセデスを下して、今年は総合優勝しちゃうかもね!?」
――柳さん何を興奮してるんです?
柳「クラリン(担当編集の嵩倉)、F1よF1、フォーミュラ・ワン。自動車レースの最高峰。今年はエンジンサプライヤーのホンダが参戦最後の年なんだけど、有終の美を飾るにふさわしい活躍をしてる。」
――あっ、表彰台でシャンパンをかけ合うアレですね。
柳「そうそう。今年からシャンパンじゃなくて、「フェッラーリ」という北イタリアのトレントのスパークリングワインだけどね。」
――あら、最近、メジャーになりつつあるフランチャコルタとはまた違ったスパークリングなんですね。
柳「イタリアにはアルタランガというスパークリングの原産地呼称もあるし、スペインではお手軽なカバという呼称を嫌って、高品質なスパークリングワインの造り手が結託し、コルピナットという呼称を使うようになった。
いずれも品質は高く、シャンパンもうかうかしてられないね。」
――ほぉ〜。では、日本のスパークリングワインはどうですか?
柳「今はまだ、よくある炭酸ガス注入式が大半。でも中には、シャンパンと同じ瓶内二次発酵の高級スパークリングワインも増えてるよ。」
――瓶内二次発酵?
柳「ワインを瓶に詰め、そこに糖と酵母を加えて密栓。ふたたびワインが発酵して、その際生じる炭酸ガスを瓶の中に封じ込める製法。
フランチャコルタやコルピナットも手間のかかるこの造り方だ。」
災い転じて福となす、レアなロゼスパークリング
――それで、柳さんおすすめのジャパニーズスパークリングは?
柳「グレイスワインの「ロゼ ブリュト ナチュール」。黒ブドウのカベルネ・フランから造られた、珍しいロゼスパークリングさ。」
――女性醸造家として有名な、三澤彩奈さんのワインですね!
柳「そう。2016年がどんな天候だったかクラリンは覚えてる?」
――昨日の天気さえあやふや。5年前なんて覚えてませんよ〜。
柳「この年は全国的に雨が多く、日本一の日照時間を誇る山梨県の明野町も例外ではなかった。
明野で素晴らしい資質を見せるカベルネ・フランも、グレイス最高峰の赤ワイン「キュヴェ三澤」にするにはポテンシャル不足と彩奈さんは判断。ロゼワインやこのロゼスパークリングにしたわけだ。」
悪天候を逆手に取り戦略変更、極上のロゼ泡が誕生した
「GRACE ROSÉ Brut Nature 2016 Late Disgorged(グレイス ロゼ ブリュット ナチュール 2016 レイト ディスゴージド)」
山梨県の明野で収穫されたカベルネ・フランから一旦ロゼワインを造り、それを瓶内二次発酵。糖分無添加のブリュット・ナチュール。5,500円/中央葡萄酒 TEL:0553-44-1230
――苦渋の決断でしたでしょうね。
柳「まさに。ところが、これぞヒョウタンからコマ。果実味豊かでボディのしっかりしたロゼスパークリングに仕上がってる。逆転勝利を祝うにふさわしい美酒だよ。」
――なるほど。意中の人にふられた直後に、いい男に告白されたら、これを飲めってことですね!
柳「クラリ~ン(涙)。」
顔に似合わず頑固者。不屈の精神が美酒を生む
グレイスワインの栽培醸造責任者、三澤彩奈さん。
醸造学の名門、ボルドー大学で学び、世界各地で修業を積む。チャレンジ精神旺盛な日本ワイン界のマドンナ。
このロゼスパークリングは4年もの瓶内熟成が施され、イースト由来の香ばしさが充実。
澱抜きのための動瓶作業は写真のとおり、手作業で回している。
編集部員・嵩倉が飲んでみた!
きめ細やかで少し強めの泡は、蒸し暑い今の季節にぴったり!爽やかに喉を通った後、ブドウの皮や種を思わせるようなほどよい渋みがほのかに感じられます。
スパイスの効いたエスニックと合わせて飲みたいなぁ……。
◆
教えてくれたのは
ワインジャーナリスト 柳 忠之氏
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、親身になって答えるワインの達人。
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