絶食系女子 Vol.2

慶應卒で年収1,000万。麻布十番在住の32歳美女が『彼氏不要論』をとなえるワケ

7年以上彼氏がいない女


「で、いまだにホンモノの彼氏を作る気はないのね?」

慶應大学時代から仲の良い、エステサロンを経営する友人と恵比寿でランチ。厚切りのローストビーフを噛みしめながら、私は首を軽く縦に振る。

「うん。今の私には必要ないかな。好きになれるような人もいないし、なんといっても一人が快適で、この暮らしに満足してるの」

私には、もう7年以上彼氏がいない。正直に言えば、恋人を作る気もあまりない。

でも、20代前半くらいまでは、そこそこ派手に過ごしていた。

医学部生や、ミスターコン出場者、10歳以上離れた経営者、たまには芸能人とも遊んだりして。

当時の私は、まだ恋に恋ができる年頃だった。適当な男性と“なんとなく”で付き合えたのだ。

しかし、第一希望だった大手広告代理店に入社してからは、激務に追われる日々。“なんとなく”の恋愛に、自分の貴重な余暇を割くことは絶対にしたくなかった。

出世街道をひた走り、プライベートは自分の好きなように過ごしていたらあっという間に30代。

年収は1,000万まで届いた。それに加えて、投資なんかもやってる。このままいけば、老後を十分に過ごしていけるだけの金額を手にすることができるだろう。

いい部屋に住んで、趣味の料理を楽しみ、好きな友達とはいつでも会えて、値段を気にせず高級レストランで食事ができる。

しかも結婚願望も今のところはないから、人生に焦りや不安はない。

恋愛なんて、本当に好きになれそうな人ができたときにでもすればいい、と思っているのだけれど…。

「……なんでみんな、パートナーの有無にこだわるんだろう。余計なお世話なのに…」

“彼氏がいない”と素直に打ち明けていた頃を思い返す。

「誰か紹介しようか?」と食事会をセッティングしてきたり、「理想が高いんじゃない?」と勝手に彼氏がいない理由を分析されたり。人によっては「選べるうちが華なんだから、今のうちに彼氏を作っておかないと」なんて失礼なことを平気で言ってきたりする。

「あとは、まったく興味ない上の立場の男から言い寄られたりね。昔働いてたサロンの経営者が、本当にしつこくてうんざりしたけど。

3年前に独立してからは、男女関係のストレスはなくなったかな……。梨香子はセクシー系の美女だし、そういうことも多いでしょ?」

“セクシー系の美女”というパワーワードで吹き出しそうになるが、実際は心当たりがある。

でも、彼氏がいると嘘をつき始めてからは、その数もだいぶ減った。

「そういえば、梨香子はまだ独立しないの?前に相談してくれたこともあったよね?」

友人の言葉に、私は「あぁ」と小さく声を漏らす。ゆるく巻いた髪を耳にかけると、ディオールのピアスが揺れた。

「色々考えたんだけど、今はまだこの会社で頑張ろうかなと思っているの」

“あの頃のこと”が否応なしに頭をよぎり、少し胸がざわつく。私はノンアルコールカクテルに口をつけて、そっと目を伏せた。


彼氏がいないだけで、かわいそうな女だと思われる…


2020年2月28日

「ちょっと、卓也飲みすぎだって」

その月の締め日は、部署ごとに飲み会をやるのが会社の恒例行事だった。私はチームのリーダーを任されているため、どんなに面倒でも毎回必ず出席しなくてはならない。

私は酔いつぶれている同期の卓也をたしなめつつ、銘柄のわ......


【絶食系女子】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo