東京で暮らしていれば、受けられる恩恵はたくさんある。
流行りのレストランに、話題のエステ。雑誌に載っている可愛い靴やバッグだって、すぐ手に入る。
― 東京こそ、私の生きる場所。これからもずっと。
そう思っていたアラサー女は、突然やってきた“転落人生”で、東京を離れることになり…。
「Uターン女には理由があって」一挙に全話おさらい!
第1話:職も彼氏もなくした35歳女は、ポストに届いた“あるモノ”に絶望し…
少し前から、会うたびに喧嘩を繰り返していたから「別れるかも…」と予感はしていたのだ。
それでも35歳という年齢と、彼と付き合ってきた年月の長さを考えると、なんとかうまくヨリを戻せないかと、したたかな考えが頭をよぎる。
…きっと、もうやり直すことなんてできないんだろうけれど。
そんな状況に追い打ちをかけるかのように、ある1通の封書が私のもとに送られてきたのだ。
第1話の続きはこちら
第2話:彼氏にフられ実家に逃げ帰った35歳女が、ある朝パソコンを開いて愕然としたワケ
引き出し収納がついたベッドは実用的だけれど、もう20年以上前のものでどこか古臭い。今の気分に合うものなんて、何ひとつない部屋。
それらを見ていると、東京での生活も、仕事も彼氏もすべてを失ったという現実をまざまざと思い知らされる。虚しい気持ちで胸が押しつぶされそうになった。
ここに帰って来たのは、はたして正解だったのだろうか。そしてここに、いつまでいるのだろうか。
そんな気持ちのままパソコンを開いた私は、愕然とした。
第2話の続きはこちら
第3話:2年会っていなかった独身男から、突然の連絡…。「車に乗って」と言われ、連れていかれた場所とは
「地元で会えるなんて思ってなかったよ!」
「私もです。…でも板倉先輩、ちょっと雰囲気変わりましたね」
浅黒く日焼けした肌に、濃い髭。白のロンTにグレーのスウェットといったカジュアルな服装で、私の実家前にやって来たのは、中高時代の先輩・板倉将生だった。
どの学校にも大体いる、勉強も運動もできて友達もたくさんいるモテ男。年齢は私よりひとつ上で、地元からは数少ない“上京組”のひとりだ。
第3話の続きはこちら
第4話:20時に突然、家の前に謎の男が現れ…?暗がりに向かって、恐る恐る声をかけた結果
― お客さん?でも、もう20時なんだけど…。
東京の夜と、田舎の夜はまったくの別物だ。民家の明かりがポツポツと点在するだけの真っ暗闇で、物音といったら虫の鳴き声くらいしかしない。特別な用事がない限り、ほとんどの住人は家から出ずに過ごしている。
だから、遅い時間に誰かが訪ねてくるなんて“普通のこと”ではないのだ。
私は恐る恐る玄関ドアのほうへと近づき「どちら様ですか?」と小さく声をかける。…すると、男の声で返事が戻ってきたのだった。
第4話の続きはこちら
第5話:一度も会ったことない男が、朝7時に自宅前までやってきて…?ドアを開けた瞬間、女が息をのんだワケ
私より一足先に地元に帰ってきて、立派なグランピング施設の運営を任されている板倉将生。
それと35年間この地に住み続けている、エリート銀行マン兼農業見習いの鈴木衛。
彼らが『実家に帰ってきています』という私の投稿を見て、メッセージをくれた。そして二人と再会できたことが、鬱々としていた気持ちを前に向けるきっかけとなったからだ。
それともう一人。メッセージを送ってきた三人目の男・奥田悠斗も、私を前向きな気持ちにさせてくれたのである。
第5話の続きはこちら