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  • CHANGE(チェンジ) ~いくつになっても初体験っていいもんだ~ Vol.3

    艶やかなホテルバーで出合った「国産クラフトジン」に痺れた夜

    繊細かつ上品さが際立つ「ROKU」。その佇まいに魅了される。


    「世界的なクラフトジンブームの今、いろいろな国や産地、つくり手によるジンが生まれています。

    通常、ジンと聞いてイメージするのは、ジュニパーベリーの独特な香りと味ですよね。ところが、ROKUは全く異なるんです。

    桜花・桜葉・煎茶・玉露・山椒・柚子といった日本の四季を感じさせる和の素材、6種類を使った国産のクラフトジンで、私たち日本人の心がほぐれるような優しい香りが愉しめる1本です。

    海外のバーシーンでも知名度は高く、“和モダン”を実現するのには欠かせないジンとして存在感が高まっています」と、小田氏が教えてくれた。

    「六角形のボトルや、レリーフのある洗練されたデザインも上品で素敵だね」


    興味深そうにボトルを見つめる2人。

    「シンプルなのに、カッコいい。世界に通用するデザインですね」

    ボトルを手に取った彼の視線は、そのビジュアルに向けられていた。

    ROKUがデザインに込めたのは、“日本人が大切にしてきたもの”。

    ラベルには越前和紙が使用され、ボトルの顔とも言えるロゴモチーフ『六』の文字は、海外でも人気の高い書道家の荻野丹雪氏が手がけている。ボトル全体に、日本画のような繊細な感性を感じることができる仕上がりだ。

    「シンプルだけれど、洗練されたプレミアム感があって。日本の美意識も含めて世界で認められていると思うと、なんだか誇らしい気分になるね」と彼女。

    そしてハッとしたように続けた。

    「もしかしてこのボトルの六角形は、6種の素材から来てるの?」

    小田氏の笑顔がそれが正解と告げていた。


    ひとしきり会話を愉しんだ後、「ROKUから受けたインスピレーションを元につくったカクテルがあるんですが、飲んでみませんか?」と小田氏から提案が。

    当然、好奇心を隠せないふたり。

    静かにうなずくと、「それぞれ違うものをご用意しますね」と、いよいよシェイカーが振られた。

    先ほどまでの和やかな雰囲気から一変、眼光鋭く、カクテルと向き合う小田氏の姿は、プロフェッショナルそのものだ。

    「ジントニックであれば想像ができるけど、ROKUを使ったカクテルとなると、想像もできないな」と彼。

    「ボトルを“ジャケ”で選んで、カクテルを頼むなんて初めてでワクワクする」と彼女も興味津々。

    和の繊細さを備えながらも、モダンに昇華したカクテル2種が完成!


    待つこと数分。

    女性の前に差し出されたのは、宙に浮く鳥籠のようなグラスに注がれたグリーンの液体。

    その名も「Hakone Warbling ハコネ ワーブリング」(3,392円)。

    こちらは、『マンダリンバー』のある日本橋が起点となる物語「東海道五十三次」から着想を得て、誕生したカクテル。

    この物語の中で、最も有名な箱根宿。そこに描かれた壮大な自然をカクテルに落とし込み、美しいさえずりで旅行者を癒したというメジロを表現したという。

    「浄化作用で注目を集めるパロサントの香りをROKUに重ね、抹茶やグリンピースを使った自家製のリキュール、金木犀のシロップ、ライムジュース、ソーダを加えました。メジロの棲む箱根の森を表現するのに、ROKUは欠かせないベースとなっています」

    グラスに顔を近づけ、香りをかぐ。すると森で深呼吸したようなクリアな香りが鼻腔をくすぐる。

    「森、水、空気、花…。まるで自分が鳥になった気分(笑)」という感想がすべてを物語っているだろう。


    続いて男性に供されたのは、白に赤が浮かび上がる、日の丸を彷彿とさせる1杯だ。

    実はこれ、バーの顔とも言える“シグネチャーカクテル”のひとつ「Nippon Sour~ニッポンサワー~」(3,163円)。

    同じ日本橋に店を構え、300年以上続く老舗として知られる企業の鰹節も重要な構成要素のひとつだという。

    「ROKUに使われている6種類の和素材と親和性を高めるならば、シンプルに和で貫いてみたらどうかと考えてできた一杯です。鰹出汁の繊細でふくよかな味わいを愉しめるカクテルがつくれたのは、クリアで繊細な味わいのROKUだからこそです。

    最後にアクセントとして卵白を浮かべ、梅干しスプレーで円を描き、 “モダンジャパン”を表現しました」

    シンプルで静謐(せいひつ)な佇まいながら、ひと口味わえば、奥行きある香りと見知った和の味わいが口内に広がる。そして、後からROKUの特長でもある爽やかな甘みが追いかけてきた。

    いずれのカクテルも、飲み進むほどに2人の表情は驚きで満ち溢れていた。


    ジンの代名詞とも言えるパンチの効いた香りや個性的な味わいとは、一線を画すROKU。

    「洗練されたボトルに興味を惹かれて頼んでみたけれど、味わいも繊細で美味しい!」と彼女が感想を漏らせば、

    「四季を感じることができるのも、日本らしさがあっていいよね。海外の友人をもてなすのにもぴったり」と彼も同意する。

    ヘッドバーテンダーの小田氏にとっても、「どんな素材とも調和するクリアな味わいが魅力です。四季の和素材を使っているので、1年を通してお客様に提供できるのも強み」だとか。

    繊細な香りや味わいを生かしたオリジナルカクテルとともに寛ぐ特別な時間…。


    ホテルのバーというラグジュアリーな空間で、控え目ながらも確かな存在感で目を引く美しきボトル。

    上質な空間と調和するデザインを持つ1本をきっかけに開かれた、カクテルの新しき世界。

    シンプルでミステリアス。クラシックでモダン。

    大人が寛げるすべての要素がここにあった。

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