リバーシ~光と闇の攻防~ Vol.8

「どうして知ってるの…?」女を恐怖のどん底に陥れた、上司からのメッセージ

東京の平凡な女は、夢見ている。

誰かが、自分の隠された才能を見抜き、抜擢してくれる。

誰かが、自分の価値に気がついて、贅沢をさせてくれる。

でも考えてみよう。

どうして男は、あえて「彼女」を選んだのだろう?

やがて男の闇に、女の人生はじわじわと侵食されていく。

欲にまみれた男の闇に、ご用心。

◆これまでのあらすじ

ほかの社員に罪悪感を抱きながら、密偵業務を繰り返す秋帆。そのストレスを買い物で発散するが、社内ではどんどん孤立していく…。

▶前回:「嫌なこと、全部忘れられる…」密偵の罪悪感に苛まれた女の、危険な現実逃避


オフィスに到着した秋帆は、無言のままひっそりと自分のデスクに向かった。

出社の時、「おはようございます」という挨拶をしなくなってから何日経つだろうか。

皆、あなたのことを疑ってる

先日辞めたフリーのデザイナーの言葉通り。いまや、社員全員に、秋帆が黒川への“報告業務”をしていることが知れ渡っている。

下手な告げ口をされたくないからだろう。皆、丁寧に対応してくれるが、よそよそしく、様子を窺っている感じがする。

「うっ…」

席に着いた秋帆は、周りの社員たちの視線が、自分に向けられていることに気づく。

自分の一挙一動が監視されているような息苦しい毎日に、疲れ切っていた。

「おはよう。出かけるよ」

「はい」

こんな状況であるため、話す相手は必然的に黒川だけになる。だが、黒川と話せば話すほど、周囲から孤立する。

どんどん負のループに陥っているのだ。

黒川は、相変わらずだ。何かと理由をつけて、プレゼントを贈ってくるし、秋帆に業務を依頼してくる。

「ゴホ…」

まただ。精神的に強いストレスを感じた瞬間、発作的に息苦しくなり、咳が出ることが増えている。秋帆は、給湯室へと駆け込んだ。

【リバーシ~光と闇の攻防~】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo