2021.05.21
SPECIAL TALK Vol.80北海道の都市部から田舎へ。身近にアートのある幼少期
金丸:早速ですが、お生まれはどちらですか?
藤本:北海道です。釧路市で生まれ、すぐに北見市に移り、さらに小学2年生のときに東神楽町に引っ越しました。東神楽は旭川市のすぐとなりにある自然豊かな町で、雑木林や田んぼに囲まれて育ちました。実家は今もそこにあります。
金丸:ご両親が転勤族だったんですか?
藤本:父が赤十字病院の勤務医だったので、転勤がありましたね。でも北見の赤十字病院に勤めているときになぜか思い立って、特に縁もゆかりもない東神楽町で開業することになり。
金丸:縁もゆかりもないというのが面白いですね。
藤本:北見市は北海道のなかではそこそこの街ですが、東神楽に比べると圧倒的に都会です。私は第二次ベビーブーム世代で、北見の小学校もマンモス校でした。そこから東神楽町の1学年1クラス、全校生徒80人の小学校に。
金丸:随分ギャップがありますが、すんなりなじめましたか?
藤本:不思議とすぐになじめました。都会からの転校生だったので東神楽に来ると、自動的に「学校で一番勉強ができるやつ」になったんです。クラスの子や地元の人たちが「すごいね、すごいね」と言ってくるので、「あれ、俺、すごいのかな?」と。
金丸:それまで意識したこともなかったのに、自分に可能性があるんじゃないかと感じ始めたんですね。それって、初めはただの勘違いかもしれないけど、自分の可能性を信じてやっているうちに本物になるかもしれない。すごくいい転校でしたね。
藤本:私にとっては、成功体験になりましたね。その後、町にひとつだけの中学校に進学し、中学でも勉強は1番で、生徒会長もやりました。
金丸:教育熱心なご両親ですか?
藤本:いえいえ。父は放任主義でしたし、専業主婦の母は何かと世話を焼いてくれましたが、いい意味で放置されていたと思います。というのも年子の兄と妹がいたので、真ん中の私は放っておかれることが多くて。
金丸:年子で真ん中だと、だいたい手を抜かれますよね(笑)。しかし、縁もゆかりもない町で開業したというお父さまに興味が湧きます。
藤本:父は精神科医です。精神科というと、当時は外から「閉ざす」ことが常識でしたが、父は「なるべく開放していこう」という考えでした。田舎で土地も広いので、患者さんも外に出られるようにして。
金丸:素晴らしいじゃないですか。
藤本:父は大学時代に絵を描いたり彫刻を作ったりと、日常的にアートにも触れていました。アートと医療のどちらに進むか悩んで、結局は医師としての道を選びますが、家にはアート関係の本がたくさんありましたね。
金丸:では藤本さんが建築家になったのは、お父さまの影響が大きかったんですね。
藤本:影響は受けていると思います。ただ、父は「ああしろ」「こうしろ」とは言わなかった。それでも私自身、小さい頃からものを作ることがすごく好きでした。
金丸:ちなみに、生徒会長として「自分を選んでくれた生徒のために何かいいことをやろう」と改革に取り組まれたりしたのでしょうか?
藤本:いやいや、まったく。当時は、生徒会長のポジションで何かをやるということにまったく興味がなくて。一方で、個人のクリエイションとして、新しいことを試してみるのは好きでした。たとえば図工の時間は絵を描くにしても、「上手に描こう」というよりも、いろいろな描き方に挑戦したり。
金丸:なるほど。では、建築家になった今はいかがでしょう?
藤本:建築は社会と切り離しては存在できません。だから今は、まずそこで暮らしたり過ごしたりする人たちのことを最優先に考えた上で、「その先」をどう描くことができるか。そういう意味で、とてもクリエイティヴなチャレンジだと思います。建築に携わるうちに、「人のためにいいことをしよう」という意識が芽生えたのかもしれません(笑)。
東京大学に進学し、褒められて建築にのめり込む
金丸:高校はどちらに進学されたのですか?
藤本:隣の旭川市へ。旭川東高校です。
金丸:旭川東って、有名な進学校ですよね。
藤本:うちからだと10キロくらい離れているのですが、同じ中学から4人進学しました。
金丸:高校でも最初から成績優秀だったんですか?
藤本:いや、それが最初は70番くらいでした。登下校は東神楽の友達とだいたい同じバスだったので、「やっぱり都会はすごいな」って話したのを覚えています。
金丸:挫折を味わった?
藤本:挫折というより、「そっかー」という感じでしょうか(笑)。
金丸:あまりショックでもなかったんですね。
藤本:そうですね。それで勉強が嫌いになるわけでもなく、勉強しているうちに徐々に成績が上がっていって、3年生になると学年で1番に。
金丸:えっ!ちょっと、そこを詳しく教えてくださいよ。
藤本:なんでしょう。勉強が好きだったんですかね?
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