2021.05.23
柳 忠之のこの12本におまかせ Vol.7美味しさが、心にまで沁みる究極のワイン…。
そんなスペシャルな1本があれば、おうち時間がパッと華やかになる。
今回、お肉との相性がこの上なく最高のワインを厳選。
ちょっと贅沢におうちBBQ、なんて日にぴったりだ!
◆
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BBQにぴったりな、アルゼンチンワイン
――(雲ひとつない青空を仰ぎ見ながら)いいお天気ですね〜。
柳「クラリン(編集担当の嵩倉)、いい天気だね〜。」
――こんな陽気だと、屋外でBBQしたくなりますね〜。
柳「アサード、したくなるね〜。」
――アサード?
柳「アルゼンチンをはじめ、南米諸国で楽しまれるBBQのことさ。南米版カウボーイといわれるガウチョの食文化から派生したらしい。」
――あのゆったりシルエットなガウチョパンツのガウチョですか?
柳「そうそう。うちの奥さんも履いてるよ。
2018年にアルゼンチン産牛肉の輸入が解禁されたけど、これがジューシーな赤身肉で、健康的かつおいしい。」
――すると、BBQにはアルゼンチンワインがばっちり合うと?
柳「まさに今月のお題目は「アルゼンチンのマルベック」だ。」
本国ではマイナーな存在。異国でスターのマルベック
――まるで図ったようなイントロですが、それはともかく、マルベックってブドウの名前ですよね?
柳「そのとおり。もともとはフランス南西部原産で、カオールというワイン産地の主要品種。ボルドーでも栽培されているけど、ほんの数パーセント、スパイスのようにブレンドされる脇役のブドウだね。」
――カオールという産地も初めて知りました。
柳「つまり、フランスではマイナーな存在のマルベックだが、大西洋を渡り、赤道を越えて辿り着いたアルゼンチンで一躍スターになった。
チリ国境に近いアンデス山脈の麓のメンドーサは、標高が500〜2,000メートル。この高地がもたらす特種な気候が、マルベックにぴったり合ったんだろうね。
色は濃く、肉付きよく、骨格もしっかり。そして、スパイシーな余韻をもつ赤ワインになる。」
――まさにBBQ向き!
柳「だけど……。」
――だけど?
柳「新興ワイン産地にありがちな傾向で、世界にアピールしたいがあまりインパクトの強いワインが多い。
キャンプ場や河川敷でわいわいやるようなBBQには絶好のワインだけど、今はそういうわけにもいかないから、せいぜいおうちでベランダBBQ。となれば、もう少し洗練さが欲しいよね。」
――なるほど。
究極にエレガントな味わいで、アルゼンチンワインの常識を覆した!
「TIANO & NARENO(ティアノ イ ナレノ)」
柳「それで、僕のおすすめはこれ。「ティアノ&ナレノ」。
当主は、免疫学の権威のアリエル・サビナという医師だ。彼は幻のシャンパーニュ「サロン」のディディエ・ドゥポン社長と旧知の仲。
ひとりの愛好家が生み出したワインであること、究極のエレガンスを追求していること、それに真価を発揮するのに時間を要することから、ドゥポン社長は「100年後、このワインは今日のサロンと同じ存在になるだろう」と断言している。」
――ひぃ~、すごい。お値段もとてつもないですが……。
柳「ドレスアップのうえ、最高級肉を用意したBBQで開けるべし。」
あの希少シャンパーニュ「サロン」の社長も認める!
当主のDr.アリエル・サビナは、幻のシャンパーニュ「サロン」のディディエ・ドゥポン社長の友人。
ともにワイン造りに情熱をかけるが、ドゥポン社長もこのワインには惚れ込んでいるという。
編集部員・嵩倉が飲んでみた!
正直、高級なワインって、ちゃんと良さを理解できないものも多いのですが、こちらの飲みやすさには仰天!
JALのファーストクラスでも出されたことがあるというから、日本人の口に合うのかも……?
◆
教えてくれたのは
ワインジャーナリスト 柳 忠之氏
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、親身になって答えるワインの達人。
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