女といるのが向いてない Vol.3

食事会で出会った女と、突然の再会。そのとき彼女が発した“ある言葉”に戸惑いを隠せなかったワケ

女といるのが向いていない、男たち。

傷つくことを恐れ、女性と真剣に向き合おうとしない。そして、趣味や生きがいを何よりも大切にしてしまう。

結果、彼女たちは愛想をつかして離れていってしまうのだ。

「恋愛なんて面倒だし、ひとりでいるのがラク。だからもう誰とも付き合わないし、結婚もしない」

そう言って“一生独身でいること”を選択した、ひとりの男がいた。

これは、女と生きることを諦めた橘 泰平(35)の物語だ。

◆これまでのあらすじ

2年付き合っていた元カノ・麻里亜のことを、ずっと引きずっている泰平。

ある日、友人の樹に誘われて、食事会へ参加することに。そこで、めんどくさい女・灯(あかり)に出会ってしまったのだった…。

▶前回:久々に参加した食事会で…。大手外資勤務、手に入らないものはないはずの男が不甲斐なさを感じたワケ


「あれ?泰平さん?」

代々木上原駅で突然声をかけられたのは、あの食事会から3週間後のことだった。

「灯です。ほら、この前の中華料理のお店で…」

振り返ると、例の食事会にいた“黒Tの女”が、ジム用と思われるバッグを肩にかけ微笑んでいた。一緒に歩いて帰ったことも同時に思い出されて、少し気まずい気持ちで会釈をする。

灯という名前は完全に忘れていた。しかし彼女は、なれなれしくこう言い放ったのだ。

「泰平さん、ちょうどよかった。これ、どっちがいいと思う?」

そう言って、両方の手に似たようなゴツめのネックレスを持ち、交互に首元へと当ててみせる。

― めんどくさいやつだな。

内心苦笑しながら「こっちかな」と右側を指さす。すると「ふうん、なるほどね」と微笑んでから、僕が選んでいない左側のネックレスを着けたのだ。

「…は?」

「ふふ。今日はこの子の気分なの」

― 決まってるんなら人に聞くな。

心の中で悪態をつくが、灯はパアッと弾けるように笑って、手を振り去っていった。

同じ街に、妙な知り合いができてしまった。その窮屈さに重い気持ちで歩き出すと、不意に肩を叩かれる。

そこにはさっき去ったはずの彼女が、なぜか立っていたのだ。

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