振り返れば、そこにいる Vol.8

「絶対に許さないから…!」浮気サレた女たちの、緻密に計算され尽くした復讐方法


柳井ゆかり「全部全部、壊してやる」


ゆかりは自宅のソファーでひとり、うずくまっていた。

つい数時間前まで、ここには秀がいた。そんなことを思いながら、昨日彼が座っていた場所をそっと撫でる。

きっとこのまま復縁して、秀とまた付き合うことができると思っていた。

それなのに、さきほど電話がかかってきて「もう会えない」と言われてしまったのだ。どうやら彼は「アミ」という彼女とまだ続いていたらしい。

―あんなに彼女の悪口言ってたくせに。…私の方がいい、って言ってくれたじゃん。

電話口ではつい声を荒げてしまったが、時間が経つと怒りよりも寂しさが勝ってしまう。ゆかりは悲しさのあまり、電気もつけずにジッと膝を抱えていた。

「アミちゃん、かあ」

何気なく秀が電話で言っていた彼女の名前を口にした瞬間、脳内にある考えが浮かんできた。彼が以前言っていた“ある言葉”を思い出したのだ。

「彼女はエステサロンを経営しているんだけど、店名を自分の名前にしてるんだ」

当時は彼女の話題を口にする秀を見ているのが嫌で、なんとなく聞き流していた。だから今のいままですっかり忘れていたけれど、彼が確かにそう言っていたことを覚えている。

「もしかして、秀さんの彼女って…」

しばらくぼんやりと考え込んでいたが、考えれば考えるほど予想が確信に変わっていく。ゆかりはグラスにワインを注ぐと、ゆったりとソファーに腰かける。

そして、それをゆっくり口に含むとニヤリと笑った。

「全部全部、壊してやるんだから…!」

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