三茶食堂 Vol.3

「妻は、変わった。子供を産んでから…」夫の心の隙間に入り込んだ、ある女の存在とは

毎週金曜日に、ひっそりとオープンする“三茶食堂”。

世田谷の地元民や業界人がよく訪れるというこの店には、年齢や性別を問わずさまざまな人が来店する。

この店のオーナーの直人(45)曰く、ここで繰り広げられる人生相談を聞いていると、東京の”いま”が知れるのだとか…。

さて、今宵のお客さんは?

▶前回:「もう女はコリゴリ...」清楚系の元カノに浮気をされて以降、相手を信じられぬ男の悲哀


Case 3:刺激を求めすぎた明太子男


「あの…ここって、お店ですか?」

見慣れぬ顔だった。

普段は常連客しかいないため、ここに店があることを知らない人の方が多い。だが今日は珍しく、一見さんがやって来たようだ。

「えぇ、そうですよ。三茶食堂って言います。看板も出してないですけど」
「予約してないんですけど…大丈夫ですか?」

茶色のトレンチコートをさらりと着こなすその男は、この界隈では珍しいスーツ姿だった。

仕事帰りだろうか。色白で目鼻の整った顔立ちには清潔感が溢れているが、どこか疲れているようにも見える。

「もちろんです。何にいたしましょうか。メニューがないので何でも、お好みで」

会員制でもないし、この店に来てくれたことは何かのご縁だ。

「えーっと…とりあえずビールをいただけますか?」

彼の左手の薬指には、シルバーの結婚指輪が収まっている。

さっきからため息ばかりついているのが気になり、僕はビールを出すと同時に思わず声をかけた。

すると彼は神妙な面持ちで、ぽつりぽつりと話し始めた。

どうやら彼には奥さん以外に関係がある女性がいて、その彼女も結婚している。奥さんと別れたいわけではなさそうだが、苦渋に満ちた表情を浮かべていた。

職業柄こうした話を聞くのは珍しくないが、いつも返答に困ってしまう。だから僕は、とあるメニューを提案した。

「白米はお好きですか?」

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