あなたはもう、気づいている?
あの笑顔の裏に潜む、般若の顔。
『なんで、あんな女が彼と…』
『こんなにも彼に尽くしたのに…』
復讐なんて何の生産性もないってこと、頭ではわかっている。だけど…。
激しい怒りに突き動かされたとき、人はどこへ向かうのか。
これは、復讐することを決意した人間たちの物語。
全部、愛菜が悪いんだよ。
だって、彼を最初に見つけたのは私なんだから。
私にシード権があって然るべき。愛菜が邪魔するなんて、ルール違反。
法を犯した者に罰が与えられるように、規律を破った者にも、それ相応の報いがなくちゃ。
秩序を守るためには、必要なことでしょ?
◆
私と愛菜は高校以来の大親友、だった。
好きな映画やお気に入りのブランド、恋したアイドルも何もかもが同じ。ルックスも考えていることもよく似ていて、しょっちゅう双子に間違われたりした。
とびぬけて美人でも秀才でもない私たちは、2人でいることで完全体になれたような気がしていた。
「ねえ、真由子。うちらずっと独身だったらさ、沖縄で2人で暮らさない?」
「え、最高。てか、結婚したとしてもさ、老後は沖縄で過ごそうよ。ヤバイ、めっちゃ楽しみになってきた」
「気早すぎてウケる」
2人でくだらないことで笑い合っている時間が、楽しくて楽しくてしょうがなかった。
この時間が、この友情が、一生続くんだって本気で思っていた。
―それがどうして…。
…愛菜、なんで裏切ったの?
ねえ、言ったよね?私たちはずっと友達だって。ずっと一緒にいようって。それなのに、どうして何も言わないでいたの?どうして、私を裏切ったの?
なんであなたは私の隣から消えて、あの彼の隣にいるの。
…もう、知らないからね。どうなったって…。
この記事へのコメント
友達には紹介するもんじゃないな
最終回の駆け足はナシでお願いしたい