やまとなでし男 Vol.8

「私と付き合うなら…」交際を申し込んだ男に突き付けられた、美女の高すぎる要求

「金で買えないものはない」

愛だって女だって、お金さえあれば何でも手に入る。男の価値は、経済力一択。

外資系コンサルティング会社に入った瞬間、不遇の学生時代には想像もつかなかったくらいモテ始めた憲明、34歳。

豪華でキラキラしたものを贈っておけば、女なんて楽勝。

そんな彼の価値観を、一人の女が、狂わせていくー。

◆これまでのあらすじ

はるかとのディナーに向かう途中で、元カノ・麻子と遭遇してしまった憲明。彼女と話し始めたが最後、はるかとのディナーをすっぽかしてしまう…。

▶前回:デートに向かう途中、元カノに再会した男。彼女に迫られた男の、最低な裏切り


「赤羽橋までお願いします」

タクシーに飛び乗った憲明は、はるかのマンションへと急いだ。

先日、美術展に行った帰りに送っていったから場所は分かる。部屋番号までは分からないし、彼女が帰宅している保証もないが、とにかく会いに行くしかないと思ったのだ。

後部座席の窓を一気に開けて、外の冷たい空気を吸い込む。麻子を前に混乱した頭を一度冷却させないと、はるかの前でまともに話せやしない。

だが憲明は、はたと現実的な問題に直面した。もしはるかと話す機会を得たとして、自分は何を話せば良いのだろう。

元カノに偶然会ってしまって話し込んでしまったなんて正直に話したところで、彼女を失望させるのは、火を見るよりも明らかだ。

「こちらでよろしいですか」

運転手に声を掛けられハッと外に目をやると、目的地の前に到着していた。

タクシーを降りた憲明は、マンションの外からはるかに電話をかける。事前にメッセージも送っておいたが、それでも応答はない。

スマホを握り締めながら、寒空の下辛抱強く待つ。だが、30分もすれば体の芯が冷えて背中もゾクゾクし始めた。その時だった。

青白い顔をしたはるかが、フラフラとした足取りで出てきたのだ。

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