2020.09.07
必要ですか? Vol.8“思い出”はときに、“ガラクタ”に変わる。
ガラクタに満ちた部屋で、足を取られ、何度も何度もつまずいて、サヨナラを決意する。
捨てて、捨てて、まだ捨てて、ようやく手に入る幸せがある。
合言葉は、ひとつだけ。
「それ、あなたの明日に必要ですか?」
◆
徳重雅矢は、お片づけのプロ。カリスマ整理収納アドバイザーだ。
“お片づけコンシェルジュ”を名乗る雅矢は、新人アシスタントの樋口美桜とともに、まるで魔法のように依頼人の部屋を片づけ、過去との決別を促し、新たな未来へ導いていく。
今回の依頼人は…仁科峰子(84)。大富豪の未亡人の“終活”への決意。
大学教授で大地主だった夫を5年前に亡くし、穏やかにくらしてきた。いつか来る旅立ちへ向けて、すべてのものを手放し決意をする。
▶前回:「俺なしじゃ生きていけないだろ?」弁護士の夫とのモラハラ生活から、妻が目を覚ました瞬間
美しい洋館に、バラが咲き誇るイングリッシュガーデン。ガーデンテーブルには、ティーセットと手作りの焼き菓子。
「素敵なティーカップですね」
あまりにも素晴らしいシチュエーションにうっとりしながら、美桜は目の前に座る美しい老婦人にそう言った。
「ありがとう。うれしいわ。......
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