2020.07.21
SPECIAL TALK Vol.70「甲州」にこだわり続け、ポテンシャルを引き出したい
金丸:科学的な手法を学んだうえで、地元の品種にこだわった家族経営のワイナリーが最高の栄誉を受ける。そういうケースに、日本人はもっと注目するべきだと思います。
三澤:私たちは本当に小規模なので、当時は温度コントロールができるタンクすらなく、シーツと扇風機を使って一所懸命タンクを冷やし、夜中も温度をこまめにチェックしながらワインを造っていましたね。
金丸:残念なことに日本では、全国各地で伝統的な工芸品が一般的な工業製品として大量生産され、その価値を落としてきました。でも今やあらゆるプロダクトが、万人受けするものじゃなく、個性が出ているものに価値が認められる時代です。ワインはその最たるものかもしれません。
三澤:ワインの場合、ひとつのワインができあがる頃には次の醸造期が始まっているので、賞もあっという間に過去の話になってしまいます。でも受賞したワインは、今でも生き生きとした味わいがありますし、まだまだ熟成していくだろうという未来が感じられます。味わうたびに醸造家冥利に尽きるというか、このワインに携わることができてよかったという気持ちで胸がいっぱいになります。
金丸:たとえばスイスでは、家族経営の小さな酪農家が自分たちで作ったチーズを、世界を相手に販売しています。私も何度か食べたことがありますが、とても美味しくて驚きました。日本の生産者も、自分たちが作ったものの価値をきちんと認めてくれる人に直接届けるという発想に、そろそろ変えていくべきではないでしょうか。より美味しく高品質のものをお客様に届けたいと、プライドをもって人一倍努力する日本人には、そのほうが合っていると思うし、その価値に見合った対価を払ってくれる人は世界中にたくさんいます。
三澤:特にワインのような嗜好品は、海外のほうが先入観なく飲んでいただけると感じます。「日本でワインを造っているなんて知らなかった」という方でも、「おいしい!」と言っていただくこともありますから。
金丸:最後に、これから挑戦しようとする人や、なかなか成果を出せずにもがいている人に対して、三澤さんからアドバイスをもらえませんか?
三澤:とてもアドバイスができるような人生は送ってきていないのですが、もし言えることがあるなら、本気の失敗からしか学びはない、ということでしょうか。私自身、これまでたくさんのワインを造ってきましたが、造ったワインの量よりも、流した涙の量のほうがはるかに多かったと思います。
金丸:「地獄へようこそ」というお父様の言葉は、決して言い過ぎではなかったのかもしれませんね。でも、三澤さんはまだまだお若く、「甲州」にはポテンシャルがある。これから三澤さんがどのようなワインを造られるのか楽しみですし、挑戦を続ける姿勢はワイン業界だけでなく、多くの人を勇気づけてくれることでしょう。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。
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