報道ガールの恋愛事件簿 Vol.4

「私、こんな格好でどうしよう…」。西麻布で男とデート中、25歳の女を襲った悲劇とは

—ありのままの自分を、好きな男に知られたくない。だってきっと、また引かれてしまうから…。

高杉えりか、25歳。プライベートはほぼ皆無、男社会に揉まれ、明け方から深夜まで拘束される報道記者。しかも担当は、血なまぐさい事件ばかりだ。

だけど、恋愛も結婚もしたい。そんな普通の女の子としての人生も願う彼女は、幸せを手に入れられるのかー?

◆これまでのあらすじ

えりかは気になる男性がいるが、激務に引かれるのが怖くて職業を打ち明けられていない。

ある日、飲み会で出会った警察官から、取材中の殺人事件に関する特ダネを提供され…。

▶前回:“女だから”というだけで、男たちの会に呼ばれて…。25歳の女がそこで知った衝撃的なコト


ドクッ、ドクッ。

思いがけない特ダネに、心臓が激しく鼓動している。

震える指先で受話器マークのアプリをタップし、『桑原薫』の名前を押す。ワンコールもしないうちに、「はいよー」と返される。

えりかは細く息を吐いてから、警察官・山口から聞いた話を丁寧に説明した。

キャバ嬢だった大山里美は、常連客からのストーカー被害に悩まされていたこと。警察に何度も相談していたこと。だが、警察は何の対応もしていなかったということ…。

「…ひどいな」

黙って聞いていた桑原は、怒気を孕んだ低い声でつぶやいた。

「昼のニュースまでまだ1時間半あるから、それまでに絶対ウラ取ろう」

頑張ろうな、という言葉を残して通話は切れた。

日中のこの時間、警察官は働いているのでなかなか連絡が取りづらい。が、そうは言っていられない。えりかは『連絡先』と表示されたアプリを押した。



午後1時。警視庁記者クラブのブース内に並んだテレビ画面が、湯気立つラーメンを映し出している。ぐぅ、と腹が鳴るが、あまり食欲はない。

「高杉よくやったよ、えらかった」

古びた事務イスに深く腰掛ける桑原は、嬉しげに言った。

しかしえりかは、デスクに半ば突っ伏すようにぐったりと体を預け、はあ、と煮え切らない返事をする。

「なんだよ、特ダネ放送できて嬉しくないの?」
「いや、そうじゃないですけど…」

えりかは深いため息をつく。

「結局私がしたことって、女の武器を利用しただけなんですよ…」

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