2020.06.04
君が僕で、僕が君で Vol.1「麗奈(れいな)ちゃん、アブサンって飲んだことある?」
「なにそれ?」
彼女の視線と僕の視線がようやく重なる。
—可愛い・・・
首を傾げながらキョトン顔でこちらを見つめる彼女を見て、今までの無礼は帳消しとなった。
「フランス語だとアプサント、英語だとアブシンス。聞いたことない?Europeの薬草系リキュール。ハーブやスパイスが主成分。ゴッホはアブサン中毒で死んだと言われているくらいアブサンにハマっていたんだよ」
「ハーブが主成分って美容にも良さそ〜。ゴッホがハマってたとかすごいですね」
ー彼女の目に光が宿り始めた。今日のデートで初めて引きを感じた。もう一押しだ。
確かな手応えを感じた僕は、彼女のテンションが下がらないうちにアブサンが写ったスマホ画面を見せつけた。
「見て、おしゃれじゃない?凄く綺麗な緑色でしょ。これはParisのLa Fee Verteで撮った本場のやつ。ポンタルリエグラスの上に角砂糖を乗せたスプーンを渡して、ウォータードリップで水を滴下するんだ」
「へぇ〜、映えますね。飲んでみたい!」
彼女のテンションが最高潮に達したところで、タイミングよく店員が通りかかった。
「チェックで!」
彼女は財布を出す素振りもせず、”奢られるのは当たり前です”と言わんばかりの顔で鎮座していた。
「ご馳走様です」という声が聞こえなかったのは、僕が2軒目への移動を急かしてしまったせいで言う暇がなかったのだろう。
そういうことにしておこう。
チェックを決めてから、5分も経たぬ間にアブサンバーに到着した。
♢麗奈:夢も浪漫の欠片もない。下心しかないサラリーマンの話はつまらない
友達の彼氏の友人が、私をインスタで見てデートを懇願してきたらしい。
将来有望な男だからと半ば強引に取り付けられたデートだった。
まったく気乗りしていなかったが、予約困難な星付きレストランに釣られてOKしてしまったのだ。
1軒目のレストランでは延々と自慢話を聞かされた。ちょいちょい挟んでくる発音の良い英語も気色悪い。明らかにつまらなそうな態度を示しているのに全く気付く様子もない。
彼の魅力は学歴や職業などのステータスと、それに付随する安定と将来性だけだ。
私が女子大生だからって、しがないサラリーマンのくせに、勘違いも甚だしい。マウントを取れる相手には態度が大きくなり、自分より上だと判断した相手には途端にゴマをするタイプなのだろう。
サラリーマンって女の話と仕事の自慢か愚痴しか言わないでしょ。
女の話も洒落た言葉で纏められず、あの女は美人だとか、あの女は簡単に落とせそうだとか、そういう下世話な話しかしない。
やっぱり私は壮大な浪漫を感じる億万長者な経営者や、クリエイティブな創造性を感じるアーティスト、バイタリティ溢れるスポーツ選手の方がよっぽど唆られる。
星付きのレストランでの"撮れ高"は十分だし、1軒目で切り上げよう、そう思って視線を上げた瞬間・・・
「アブサンって知ってる?」と、初めて興味深い話を振ってきた。
緑の液体を扱った理科の実験をお洒落にしたような写真を見せてきて「これは映える・・・」と、インスタグラマーの血が騒いでしまったのだ。
私のテンションが少し上がったことに気づいた彼は、早々にお会計を済まし、私をタクシーに押し込んだ。
着いたのは看板のない不気味なバーだった。
彼はただならぬオーラを醸し出す強面のマスターと顔なじみのようだ。カウンターの右端には気持ちよさそうにチルしている西洋人の男性が一人、腰掛けている。
彼は私を左端にエスコートすると、そのまま腰を抱いてきた。
世の中的には定番ファンタジーだけど、東カレでだとどうなるかすごく気になる!
そしてアブサンバー?行ってみたい
【君が僕で、僕が君で】の記事一覧
2020.08.27
Vol.14
抱き合って寝た翌朝、男が深刻な顔で女に告げた“ショックな話”とは
2020.08.20
Vol.13
ずっと好きだった男にキスされたのに…。女が拒絶した、まさかの理由とは
2020.08.19
Vol.12
これは運命の恋の始まりなのか?身体が入れ替わってしまった商社マンと女子大生「君が僕で、僕が君で」全話総集編
2020.08.13
Vol.11
女の「今夜はOKサイン」を読み間違えた男。恥ずかしい勘違いをした彼に訪れた悲劇とは
2020.08.06
Vol.10
「マジありえねぇ」男がドン引きした美女の知られざる秘密
2020.07.30
Vol.9
「あえて終電を逃す女」28歳男が驚愕した、彼女の恐ろしい思惑
2020.07.23
Vol.8
「こんなの初めて…」28歳男の前で、女が本当の自分をさらけ出せた夜
2020.07.16
Vol.7
「私達ってどういう関係?」女の禁句に対する男のウマすぎる回答とは
2020.07.09
Vol.6
「焦らされたい…?」男を虜にした清楚系美女の上級テクニック
2020.07.02
Vol.5
「年収よりも"アレ"が大事?」女たちが明かす恐ろしい本音
おすすめ記事
2017.04.10
それも1つのLOVE
それも1つのLOVE:優しいだけの彼じゃ、満たされない。刺激を求める心が招く運命の悪戯
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2023.01.12
ポン女
「彼のこと好きになれたら、幸せになれるのに…」ドキドキする相手としか付き合えない女の運命は…
2017.08.04
港区遊び方委員会
港区遊び方委員会:土曜の朝、何時に起きる?港区で「化石」扱いされる女の特徴
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2021.07.26
セルフ・ラブ~20代女子の矛盾~
セルフ・ラブ:「男は日替わりカクテル」の27歳女子が見つけた、ニューノーマルな真剣交際とは?
- PR
2025.02.12
【豪華プレゼントが当たる】「所有欲が掻き立てられます…」人気セレブ夫婦が魅了された“マセラティ”の車とは
2018.05.28
Fragile Love
Fragile Love:「丸裸に、しちゃおうかな」。誘惑にのぼせたオヤジが、美女を炎上させた夜
- PR
2025.03.27
7種類ものフレーバーが楽しめる! この春、台湾生まれのフルーツビールが話題!
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…
この記事へのコメント