キッチン・マン Vol.2

「どうしても気になる」好きな子のSNSを逐一チェックする、28歳男の本音

モテる男は料理ができる?

近頃、「料理に目覚める男子」が増えてきている。

外資系IT企業で働く大智(だいち)は、食事はもっぱら外食かUber Eatsのズボラ男子。

だが、遠距離片思い中のスミレの気を引きたくて料理を始める。

ステキ料理男子ができあがるまでの料理と恋のストーリー。

◆これまでのあらすじ

大智(28)は、スミレの気を引くために同僚の章二に料理を教えてもらうことになった。そんな時、スミレのインスタの中で男の声が聞こえたことが気になっているが…。


スミレのインスタで名前を親しげに呼ぶ男の声。

お食事会の時に「彼氏はいない」と言っていたが、どうしても気になってしまう。

ー別に俺はスミレの彼氏な訳でもないし、考えても仕方ないことだな。

気持ちを切り替え、キッチンで章二がごぞごそ支度をしている間、ソファーで寝転がりながら料理について調べることにした。

「料理 初心者」と検索すると、沢山のレシピサイトが表示される。その中でも名前を聞いたことがあるレシピサイトの初心者特集を開く。

美味しそうだな、と思う画像をクリックしレシピをいくつか見てみるが、早々に挫折感を味わう。

ーまじで?これで初心者向けなのか!?

使う食材が多いし、そもそもサラダ油も醤油も家にはない。

思わず、画面を閉じて、天井を見上げる。

確かに、今の自分の生活は充実している。仕事では尊敬できる上司がいて、切磋琢磨しあえる同僚がいる。

同世代と比べても稼いでいるし、プライベートの時間も十分ある。おしゃれな家に住んで、欲しい物があったら気兼ねなく買える。

でも仕事以外の自分は、どうしようもないズボラ男子だ。

部屋は散らかっていて汚いし、「英語を上手く話せるようになろう!」と思って申し込んだオンライン英会話は、数回レッスンを受けただけで幽霊会員になっている。

体型維持のためのランニングと惰性で続けているカメラくらいしかまともな趣味がない。

ー料理でも始めたら、何か変わるのか…。

あれこれ考えているうちに、料理は自分を変えるきっかけになるのではないかと、かすかな期待を抱き始めた。

「まさかラー油しかないとは思わなかったよ!」

カウンターから顔をのぞかせた章二に、笑いながら言われる。

「あ、それお土産でもらったやつ。辛いもの好きだからさ」

「食材の前に、まずは調味料からだな。買い物行くぞ!」

章二に促され、重い腰を上げソファーから立ち上がる。

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