フレネミーな2人 Vol.7

「あの男と付き合ってるんでしょ?」毎晩、深夜に帰宅する女に向けられた疑いの目

採用倍率1,000倍と言われる、狭き門を突破したテレビ局のアナウンサー。

そこは華やかに見えて熾烈な世界。

彼女たちは知的で愛くるしい笑顔の裏に、他人へは見せられない顔を隠し持っているのだ。

そんな、知られざる女子アナの裏側とは…?

◆これまでのあらすじ

葵とエリサの冠番組が決定。表面上は仲良しに戻ったものの、葵は自分より順風満帆なエリサを羨ましく思うようになる。焦った葵は、エリサに負け続けないために“あること”を画策していて…?


2019年8月


ーどうして、エリサばっかり上手くいってるのよ…!

会議室のテレビに、かつて自分が担当していた『お笑いスクランブル』が映っている。葵は、生き生きと振舞うエリサを画面越しに睨んだ。

コンコンコンー

エリサにこっそり悪態をついていたその時、ドアを律儀にノックして、先輩の奥村アナが入ってきた。

「ごめんお待たせ。にしても、原稿読みから教え直して欲しいって、どうしたの野々村?」

親しげな笑顔で葵を見る奥村アナ。葵のちょうど20年先輩のベテラン男性アナウンサーだ。入社時研修では基礎の基礎を叩き込まれた。

実力派で信頼が厚く、頼り甲斐のある人柄は世間からも人気だ。

「お忙しいのにすみません。私もそろそろ、頼れる先輩にならなくちゃって焦っていまして」

そう言って笑って見せたが、心の奥では必死だった。

“かわいさ”だけで売ってきた自分には、それしか武器がないことくらい分かっている。年を重ねる前にアナウンス技術でしっかり武装しないと、お先真っ暗だ。

ーこのままだと、エリサに追い抜かれ続けることになる。

葵が奥村アナに頼んだアナウンス特訓は、連日深夜まで続いた。

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