ハレの日に行く、銀座クオリティの名店 Vol.3

カーエム

KM

自然と身体が悦び、深く心に響く美味は新境地でも不変。

カウンター8席が店の中心。「ほかの方のお料理が出来ていくのを見て“今度はあれを”とおっしゃる方も多い」

入店した瞬間から鼻をくすぐるフォン・ドゥ・ヴォーの豊かな香り……「これが無いとできない料理がたくさんある」とシェフの宮代潔氏は言う。恵比寿で22年間営業した『カーエム』が銀座に移転したのは昨年12月。理由は閑静だった界隈の変貌にあった。

贔屓にしてくれる常連が足繁く通うと聞いた街が“銀座”。故に進出を決意。「50坪あって間口を広げ過ぎた」との反省から、カウンター中心で全12席の新店と相成った。マダムの國府方佳子さんとふたりですべてを行うため、前日までの完全予約制。予約時にメインを選んでもらった上でシェフが前菜2品とデザートを合わせる、おまかせコースのみを供している。

「以前は皆様にそれぞれの定番があって“今日はこれを食べる”って決めていらっしゃる方が多かったんです。料理人として、それは嬉しいことなんですけど、いつもと違う料理も食べて欲しかった。このスタイルにしたことで新鮮に感じていただいているようです」

20年来、親しんだ料理が目の前で完成していくのも嬉しい限り。カウンターの向こう側には実直に料理に勤しむシェフの姿がある。

「伝えたいことは変わりません。素材の持ち味を明確に表現しつつ、手をかける所はしっかり手をかける。新しいことも色々とやっています。銀座は食前酒からチーズまでというフランス料理の真髄をご存知の方が多く、やり甲斐がある」

不変のスペシャリテがある一方で常に進化するその姿勢は、“銀座”という街と驚くほどに重なる。

左.牛フィレ肉のロッシーニ風。多くの人が愛するメインのひとつ。料理はすべておまかせコース¥8,800~より

右.冷製フレッシュトマトのスープ シェーヴル風味。今夏、新登場の前菜

キッチンの背後にはグラスなどが並ぶ

うなぎのテリーヌ 香草風味、トマトのコンフィ入りクリーム添え。夏のスペシャリテ

カウンター主体の店内だが穏やかな時間が流れる

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