採用倍率1,000倍と言われる、狭き門を突破したテレビ局のアナウンサー。
そこは華やかに見えて熾烈な世界。
彼女たちは知的で愛くるしい笑顔の裏に、他人へは見せられない顔を隠し持っているのだ。
そんな、知られざる女子アナの裏側とは…?
2018年 2月
「はい、みんな一旦聞いて!『ランチワイドショー』の特集コーナーですが…4月で入社2年目になる野々村アナに担当してもらうことになりました!」
キー局のアナウンス室中に響く大きな声で、局長の田上涼子が告げる。
その瞬間、フロアにいたアナウンサーたちの視線が一斉に、野々村葵へと注がれた。
「本当に光栄です!がんばります!!」
田上局長の横で眩しいほどの笑顔を浮かべながら、葵は心の中でガッツポーズを決める。
―やった。看板アナへの大きな一歩だ…!
このテレビ局では“期待の新人アナが、昼の帯番組で特集コーナーを担当する”という決まりがある。
慶應を卒業し、念願叶って女子アナの称号を手に入れた葵には、このチャンスを絶対に逃したくない理由があった。
―女子アナになれても、注目されずに歳を取り、なんとなく結婚して退社する人だっている。私はそんなの、満足できない。
まずは、局でいちばんのアナウンサーになる。そしていつかは、アナウンサー界でいちばん注目される人になる。だからこの席は、なんとしても手に入れたかったのだ。
…それに、なにより。“あの子”に譲るのだけは耐えられなかった。
「野々村、おめでとう。困ったら頼ってくれていいからな」
葵を激励する先輩アナウンサーにニコリと微笑みかけていると、視界の片隅で、ジッと葵を見つめる人物の姿に気が付いた。
この記事へのコメント
似たようなキャラと、共感できないキャラばかりでマンネリ気味だったから。。