2014.08.21
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.16祇園祭に天神祭―上方の夏祭りに欠かせぬ食材といえば鱧。“梅雨の水を飲んで旨くなる”と言われているように、夏が旬であることは周知の事実だが、実は秋にも旬を迎えることをご存知だろうか。
産卵後、冬に備えて食欲が旺盛になる9〜10月の鱧は、体の表面が金色を帯び、身も肥えて脂もグッと乗ってくる。俗に“金ハモ”などと呼ばれるこの時期が、いわば鱧のもうひとつの旬なのだ。
その“金ハモ”ならではの深みのある味わいを生かした一品が、ご覧の「鱧のグリエ 鱧のコンソメ仕立て」。川手寛康渾身の意欲作だ。
8年前に『京味』で味わった鱧尽くしの料理に感動。真の美味しさに開眼したという川手シェフ。
「僕にとって鱧の魅力は、骨切りした身の、しっとりとした独特の食感と香り」だそうで、その芳ばしさを引き出すため、湯引きではなく燻香を纏わせるように皮目だけを炭火でパリッと焼き上げている。それも、焦げぬように二回に分けて焼く細やかさ。炙られるうち身から滲み出る脂も、今が旬の鱧ならでは。
力強くもデリケートな旨みを、鱧の骨で取るコンソメが、より重層的な味わいへと引き立てる。
●もりわきけいこ
美味の食べ歩きに日々邁進し、綿密な取材と豊富な経験に基づく記事で定評のあるフードライター。真の旬を伝えるべく、その時期とっておきの美味にありつける名店を紹介
この記事で紹介したお店
フロリレージュ
【森脇慶子の「旬カレンダー」】の記事一覧
2014.04.21
Vol.13
漬けるか、はたまた、蒸すか。ワタリガニの異なる魅力を識る
2014.03.20
Vol.12
かんだ
若緑色の生若布で春の息吹に触れる
2014.02.21
Vol.11
ピアットスズキ
春を告げ、体を目覚めさせるふきのとうのヴィヴィッドな風味
2014.01.21
Vol.10
美と食を追求した才人をも虜にする、ふぐの魔味
2013.12.21
Vol.9
北京遊膳
白菜の力を最大限に引き出す技を凝らした熟練のひと皿
2013.10.21
Vol.8
手を掛けてさらに味わい増す 上海蟹の奥深さを識る
2013.09.21
Vol.7
Le Mange-Tout
夏の終わりに旨みを蓄えた品格漂う鹿肉の潤い
2013.08.21
Vol.6
香り、食感ともに魅惑的。夏に食す至極の一貫
2013.06.21
Vol.5
毎年、夏の到来を教えてくれる翡翠色のスープ
毎年、夏の到来を教えてくれる 孤高のシェフの翡翠色のスープ
2013.05.21
Vol.4
大羽
夏の季語を味わい 日本の旬を舌で愉しむ
おすすめ記事
2014.07.19
森脇慶子の「旬カレンダー」 Vol.15
うぶか
夏の食卓が華やぐ車海老の鮮麗
2017.08.18
広尾5丁目から渋谷川を渡って恵比寿2丁目にかけての名店11選
2017.03.01
毎日でも通いたい!恵比寿・広尾で地元民がこよなく愛する名店8選
2020.12.28
今田美桜を話題のホテルダイニングでもてなしたら、最高の笑顔を見せてくれた!
2016.05.24
ひとり¥5,000でも驚くほど旨い有名店出身&姉妹店5選
2019.08.24
渋谷の人気店が手がける軽快フレンチ誕生!〆の本格欧風カレーも絶品だ!
2022.10.15
東京ご近所探訪
緑豊かな街並みが広がる“セレブの街”。芸能人が住み続ける、世田谷の人気タウン
2020.04.27
温めるだけで贅沢なコース料理が!西麻布の人気フレンチの味を自宅で楽しもう!
2021.12.27
【撮影裏話あり】元タカラジェンヌ・望海風斗が自分へのご褒美で訪れたい名店3選
2021.12.05
やっぱりアガる!キャビアがたっぷりと味わえるラグジュアリーレストラン3選