深夜0時の分岐点 Vol.8

「貯金400万くらい、あるでしょ?」旧友からの一言に傷つく、エリート商社マンの心境

午前0時。
シンデレラの魔法が解け、現実に戻るように…

27歳。
学歴良し、勤め先良しの男女が送る夢のような日々は、27歳で現実を迎える。

若さと勢いで乗り越えられてきたものが、なんだか小難しくなってくる。

キャリアアップはどこまで目指すのか。結婚はするのか。子供は持つのか。

様々な選択肢が押し寄せてくる頃。

魔法が解けた時、彼・彼女は一体どんな選択をするのだろうか。

前回は、彼女にはなりきれない女の選択を紹介した。今回は…?


午前0時。

華金に浮き足つ六本木の街に、アイツは遅れてやってきた。

一年ぶりに開かれる、慶應のゼミ同期たちとの同期会。2次会の『1967』で一杯目を飲み終える頃だった。

「遅くなってごめん、お待たせ!」

「お疲れ〜!ようやくきたか、CEO!」

腕には滑らかな茶革のHermesのApple Watch、ガッチリとした筋肉質な体に馴染むジャケットとデニム。その手に唯一持っているのはiPhone11。とても同じ社会人とは思えない身軽さで、浩輝は颯爽と現れた。

「お、雄大、久しぶり。いや〜週明けにVCとミーティングがあって、その準備でちょっとバタバタしちゃってさ」

ぐるっとテーブルを見渡すと、浩輝は雄大の向かいの席に手をかけた。

新卒でゲームアプリのスタートアップに入った浩輝。風の噂によると昨年末に独立しD2Cのコスメ会社を立ち上げ、CEOとして日々多忙を極めているらしい。

その噂通り、一年ぶりの浩輝は、特徴的だった丸顔の面影もなく、シュッとした顎に髭を生やし、目の下にほんのりとクマを作っていた。

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