嘘 Vol.5

「もしかして、俺のこと誘ってる?」男を惑わした、人妻からのメッセージ

幸せな夫・妻を演じる結婚生活は、まるで“ままごと”のようだ。

確かに、幸せなのだけれども…。

満たされぬ思いを誤魔化すために、人は自分にも愛する人にも嘘をつく。

嘘で人生を固めた先にまっているのは、破滅か、それとも…?

満たされない女と男の、4話完結のショートストーリー集。

1話~4話は、『片想い』をお送りした。5話~8話は、『運命の人』

今回は、大手商社に勤める塁(35)と史帆(34)の物語。


―昔はよかった。

これは僕が一番嫌いな言葉だ。そんなの、過ぎ去ったことに執着し、現実を直視しない人間が口にする戯言にすぎない。

僕は早稲田大学を卒業後、大手商社に入社した。2年のニューヨーク駐在を経験し、出世ルートも外れず、年収は右肩上がり。31歳で、美人CAと仲間内でも名高かった友香と結婚し、すぐに娘の愛莉が生まれた。

「お前って、何かツイているよな」

同僚にそんなことを言われたことがあった。似たようなセリフは、過去に何度も掛けられてきているのだが。まあ、はっきり言って、みんな僕の人生を羨ましいのだと思う。

でも僕の人生は、自分自身で掴み取ってきたものなのだ。

ルックスと頭脳に恵まれたというアドバンテージはあるものの、いつだって、適切なタイミングで最大限の努力をしてきた。

後悔したことなんて一度もない。

―だけど…。半年前のあの日。

数年振りに、“shiho”というIDからメッセージが着信したとき、妙な胸のざわつきを感じた。

―それから…

僕の人生の矛先が少しずつ、あらぬ方向へと進んでいる気がするのは、気のせいだろうか?

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