出世欲☆ガール Vol.8

「出世するのは、失恋したての女」キャリアアップしていく、26歳女の私生活とは

“仕事”は、給与をもらうための手段。

そう割り切って仕事をしている人も多いのではないだろうか。

倉田梨沙もそのうちの1人。ごくごく普通のOLで出世欲もなかった。

しかし、出世欲に目覚めた平凡な女の子でもキャリア女子になれるのか?

◆これまでのあらすじ

2年前の梨沙は、“仕事ヤル気ゼロ”の他力本願なOLだったが、今や、出世欲に燃え、営業に明け暮れる日々を送っている。前回は、万全な準備のおかげで評価面談をうまく乗り切ることが出来た。一方、恋人の加藤からは“元カノと会っていた”と突然の告白をされ、梨沙は…


恋人・加藤からの「元カノと会っていた」という突然の告白に動揺し、梨沙はしばらくその場で動けずにいた。

スマホを握ったまま、路地の隅に立ち尽くす梨沙には目もくれず、カップルたちが目の前を通り過ぎていく。

「ごめん。情けないけど、自分を頼ってくれる子と一緒にいたいんだ。梨沙は何も悪くない…」

加藤に出会い仕事の面白さを知り、彼に憧れ梨沙はキャリアアップを目指してきた。

それなのに…。

誰よりも、側にいて応援してくれていたはずの加藤は、梨沙が出世していくにつれ、気持ちが離れていったようだ。

そして、彼を頼ってくれる元カノのところに戻ったらしい。

「梨沙はちゃんと自分の頭で考えて行動したから、強くなったよ」
「それは、加藤さんがいたからだよ…」

しかし、加藤は「ごめん…」と言うだけだった。

ここで、「私だって加藤さんがいないと生きていけない」とでも言えば彼は戻ってきてくれるのだろうか?

どこか他人事のように聞いている自分もいたが、結局どう答えていいか分からず取り乱すこともなく「わかった…」と言って電話を切った。

梨沙は、並木橋から代官山方面に向かう坂道を足取り重くのぼる。

そして結局、三軒茶屋の家まで30分以上かけて歩いて帰った。

その間に気持ちを落ち着かせたい、そう思っていたが、ヒールで無理に歩いたせいで踵の皮が少し剥けただけだった。

自分でも不思議に思うが、涙が一滴も流れない。

「好きだったのにな…」

じんじんと痛む踵に絆創膏を貼りながら、小さく呟いた。

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