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  • 婚前契約 Vol.2

    婚前契約〜絵麻Ver.〜:「妻に財産を渡したくないの…?」結婚に悩む女が、男を受け入れた理由

    惹かれ合う男女が永遠の愛を誓い、結婚する。

    それは情熱的で、ロマンチックで、人生最大の盛り上がりを見せるまさに幸福の絶頂…!

    しかし幸福の絶頂、つまり冷静さを欠く瞬間であるからこそ、一度立ち止まってみることが大切かもしれない。

    結婚相手とは、これから何十年もの間つれ添い、人生を共にするのだ。

    付き合って2年の記念日。絵麻は経営者の彼氏・明久から念願のプロポーズを受けた

    しかしその直後、明久は衝撃的なセリフを口にし、絵麻はプロポーズの返事を保留にするのだった。


    絵麻が2週間で心変わりをした理由


    「絵麻、俺と結婚しよう」

    明久がそう言って、バラの花束を差し出したとき。

    夢にまでみたシチュエーションを目の前にして、私は感情の昂りを抑えられなかった。鼓動が早まり、自然と目頭が熱くなる。

    2年前、友人の紹介で明久と出会い交際を始めた当初、彼はとにかく仕事ばかりしていた。

    明久は30歳のときに広告代理店を辞めて独立し、マーケティング会社を立ち上げた。今でこそ会社も軌道に乗り、信頼できる部下もできたようだが、当時は何もかもを一人で抱え、昼夜を問わず働いていた。

    忙しい彼と、なかなか会えないのは仕方がない。

    しかし待ちに待った久しぶりのデートで心ここにあらずの顔をされたり、時にはイライラをぶつけられることさえあり、やり場のない思いを抱えて一人涙した夜もある。

    それでも明久が好きだから、彼を信じ、応援してきた。一途な想いと献身的な努力が今、報われたのだ。

    「明久…嬉しい、ありがとう」

    もっと、この感動的な瞬間を分かち合いたいのに、月並みな言葉しか出てこない自分が悔しい。唇を震わせながら、そう呟くのがやっとだった。

    涙をためて明久を見つめる。しかし彼は、ふっと視線をそらした。

    「…絵麻、結婚するにあたり一つだけ頼みがあるんだ」

    突然、歯切れの悪くなった明久。

    私が怪訝な顔を向けた、その次の瞬間。彼は30秒前までの感動をぶち壊す、衝撃的な言葉を口にしたのだ。

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