狂気的なカノジョ Vol.7

「結婚さえすれば…」彼の女遊びに目をつぶり、結婚式当日を迎えた花嫁の目論見

―愛情か、それとも執着か?

幼い頃から、聖母マリアのような妻になりたいと願っていた、秋吉紗奈32歳。

しかし、彼女の運命の歯車は、航平からプロポーズを受け取ったときから狂いはじめる。

少しずつ蝕まれていく彼女の心。愛は時に凶器となり得る。

繰り返される心理戦、前代未聞の惨劇が今、はじまる。

♦これまでのあらすじ

会社の後輩・東航平(29)からプロポーズされた紗奈(32)。一方、以前から航平に想いを寄せていた今井美雪(26)は、二次会の幹事を引き受けながらも、航平との距離を縮める2度目の大阪出張の日ついに航平は家に帰ってこなかった。


春の肌寒い気候はすっかり遠のき、雲ひとつない晴天に恵まれた5月初旬の土曜日。

AM5:30。紗奈は、式場近くにあるホテルのベッドで目覚めた。カーテンの隙間から朝の光が差し込み、うららかな空気が周囲を包んでいるように感じた。

眠気はすぐに消え、紗奈はひとり起き上がる。セミスイートの部屋にはしゃいでいた昨夜の興奮は消え去り、ついにこの日がやってきてしまったという覚悟のような冷静さを取り戻していた。

―航平はまだ寝てる・・・。

式は11時からで、それまでにヘアメイクと予行練習を済ませるスケジュールになっている。

支度をはじめる前に、iPhoneを手に取り、届いているメッセージを確認した。昨夜、紗奈が眠ったあとに届いた同僚の志穂からのメッセージを開く。

「紗奈、いよいよだね。きっと素敵な式になると思う! 主人公は紗奈だよ。自信を持ってがんばって」

志穂らしいハツラツとした言葉を読みながら、紗奈はふっと口元が緩む。しかしそれも束の間、彼女はきゅっと口を閉じ、気を引き締めた。

―そう、今日は私が主役。だから美雪に思い知らせないといけない。航平の妻は私なの。もう余計なことはさせない。

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