「彼の好きな人って、まさか…」男の本音に気づいてしまった女の、秘めたる覚悟とは(3/3)[東京カレンダー

結局、二度目のデートも1軒目だけで終わってしまった。

あえて土曜に設定したものの、湊が出張帰りで疲れているということもあり、前回同様、レストランを出たところであっさりお開きとなったのだ。

しかし愛理の頭の中は、2軒目に誘われなかったショックよりも何よりも、湊が優香に好意を持っている…もしくは、過去に好意を持っていたのではないかという疑念でいっぱいだった。

自宅へと向かうタクシーで、愛理はいてもたってもいられず優香にLINEを送る。

“ねぇ優香。いきなりだけど、優香は湊さんのこと好きだったことはないの？”

祈るような思いでそのまま画面を見つめていると、数秒ののちに吹き出しが追加された。

“何、いきなり！？ないわよ、私は昔から全然好みじゃないもん”

その返信を見て、愛理は安堵の息を漏らす。

「何やってんだろ、私…」

そう小さく呟いてから、再び優香にメッセージを送った。

“そっか。変なこと聞いてごめん”

自宅に戻り、入浴をすませた愛理は、スキンケアの定番となった『DHCオリーブバージンオイル』を取り出した。

優しく肌へと塗り込みながら、愛理はふと、湊に言われた意味深なひとことを思い出す。

「愛理ちゃんは、まだ自分の良さに気が付いていない気がするな」

…あれは、一体どういう意味だったのだろう？

両手を頬に当て、考えを巡らせていると、点と点が繋がるような感覚に、愛理は「あ」と一人小さく声をあげた。

−愛理の本当の良さが伝わってないんじゃない？−

−いま私に見せているような、そのままの自然な愛理を、湊さんにも見せればいいのよ−

優香のくれたアドバイスが、湊に言われたセリフと重なる。

そのままの、自分の良さ…それがどういうものか、まだ愛理にはよくわからない。しかし、一つだけ確かなことがある。

それは、今のままの自分じゃ愛されない、ということ。

−よし…！決めた。私、変わろう。

湊が好きだという、ナチュラルで、飾り気がなくて、気取らない女性になる。これまでの愛理とは真逆に近いが、諦めてしまう前に試してみる価値はあるだろう。

−湊の好みのタイプに、変わってみせる。

愛理はその夜、小さな決意を抱きながら眠りについた。

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派手めのモテ女から、ナチュラル美女へ。愛理の作戦は、奏功するのか…！？

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