今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.29

日本ワインは想像以上に美味しい!とっておきの一本、お教えします。

柳「造り手の努力としか言いようがないかな。」

――スポーツと同じですか?

柳「ある意味ね。なにしろ開花後に梅雨が来て、収穫期には台風に見舞われ、夏の間中じめじめした日本の気候は、おおよそワイン用のブドウ栽培に向いていない。

年がら年中、乾燥して晴天に恵まれたカリフォルニアとは雲泥の差だ。」

――農耕民族で米が主食の日本人と、狩猟民族で毎日肉を食す欧米人との体格差に近いものを感じます。


今こそテロワールに合ったブドウ品種で勝負をかける


柳「そういうこと。でもね、現代日本ワインの父とされる麻井宇介さんが素晴らしいことを言った。「ワインの銘醸地は移動し得る」とね。

高級ワインの産地として知られるボルドー地方のメドックだって、その昔は沼地ばかり。それをオランダ人が干拓した結果、銘醸地として発展したんだ。

それに20世紀の後半から、カリフォルニアやニュージーランドなど、かつては歯牙にもかけられなかった土地で素晴らしいワインが生み出されるようになっている。

だから麻井さんは、「日本の気候がワインに不向きだと諦めるな。宿命的風土論を乗り越えよ」と若手の造り手らを鼓舞し続けたんだね。」

――そんなテーマの映画がありましたね。あっ、『ウスケボーイズ』だ。

柳「うん、それそれ。でも世界各国のワイン産地を見て回っている僕の目からすれば、やはり日本の気候は多くのワイン用ブドウ品種にとって最適とは言い難い。

つまり、テロワールに合ったブドウ品種を見つけることこそが肝心と思うんだ。」

――テロワールとは土壌や気候などブドウ栽培で鍵を握る、その土地の自然条件でしたね。

柳「そのとおり。そうした中で僕が今注目してる品種は、イベリア半島北西部原産のアルバリーニョ。

大西洋岸の雨の多い土地で育てられている白品種だけど、なんと新潟の海沿いでも栽培されて、うまくいってる。」

――雨がちな土地でも育つ品種があったんですね。根気強く諦めないって、大切だ!

たとえば、こんな1本
「フェルミエ エルマール アルバリーニョ2018」

「フェルミエ」は、元証券マンの本多 孝さんが、2006年に立ち上げたワイナリー。新潟の越前浜は水はけのよい砂質土壌で、海風の影響も加わり、ミネラル感に溢れ、繊細でエレガントなスタイルのアルバリーニョに仕上がる。残念ながらワイナリーではすでに完売。

¥11,000(税込)/フェルミエ TEL:0256-70-2646


教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える。

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