オトナな男 Vol.3

「私、彼氏がいるのに…」女を虜にする男が、デートの帰り際に発した一言とは

女には少なからず人生に一度、“大人の男”に恋する瞬間がある。

特に新入社員時代、先輩や上司に憧れを抱き、社内恋愛にハマる女性は多い。

だが場合によっては、その先にはとんでもない闇が待っている場合も…なくはないのだ。

◆これまでのあらすじ

同期の海斗と食事に出かけた咲希。しかし自慢話ばかりする海斗との会話に、食事に行ったことを後悔する。

全く興味のない話題が続く中、唯一咲希の気を引いたのが、海斗の口からでた「吉沢(圭太)さん」という一言

食事の次の日の朝には、圭太を含むミーティングを控えていた。


―返信、来ないな…。

海斗との食事から一夜明け、相変わらず通知のならないスマホを握りしめる咲希を乗せた電車は、二子玉川駅に停車していた。二子玉川駅からは大井町線の乗客も増えるため、咲希は憂鬱な気持ちになる。

―ドアが閉まります

電車のドアが閉まる瞬間に、多くの人が駆け込んできた。咲希はうんざりしながら、閉まる扉に詰め込まれてくる人の圧力に耐える。

俯いていては呼吸が苦しくなるため、咲希はふと顔をあげた。その瞬間、心臓が半分くらいの大きさに縮まり、直後に一気に破裂する。

圭太が、乗ってきたのだ。

思わず「あっ」と声に出してしまうと、周りの大人たちに怪訝そうな顔で一瞥された。周囲から頭一つ飛び出した圭太は、満員電車なんてなんでもないような涼しげな表情をしている。

圭太の前髪は丁寧にアップされていて、目尻のラインにだけ前髪がかかっている。耳の中に綺麗に収まっている黒のBluetoothのイヤホンからはどんな音楽が流れているのだろうと、思わず想像した。

スーツの中に着たワイシャツの襟と圭太の首が、やけに色っぽく見える。咲希は何気なく見ていたドラマで急にラブシーンが始まったときのような感覚になり、思わず目を逸らしてしまった。

しかし見てはいけないと思うほど、見てみたくなる。そして咲希はもう一度、顔を上げた。

圭太と目が合う。

咲希は慌ててペコっと顔を下げ、声に出さない挨拶をした。圭太は「おはよう」と口パクで返事をする。乗車率が180%を超える電車内ではこれ以上の会話がされることはなかったが、咲希は有頂天になった。

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