200億の女 Vol.15

「あなたの奥さんが好きです」。初対面の男から、妻を奪うと宣言された夫の悲し過ぎる夜

神崎智:「富田の瞳に黒い影が見えた」


―やっぱりこの財団にしよう。

小川さんが持ってきてくれた資料は膨大で、私は会社の小さなミーテイングルームを資料室として抑え、そこで仕事の合間を見つけては資料を読んだ。

資料に目を通し、気になることがあれば自分で調べる、を繰り返して1週間。全ての資料を読み込んでみてやはり、最初にピンときた財団が良いと思った。

小川さんは、視察もできると言っていたが、そうなればアフリカまで行くことになる。

スケジュールの調整は大変だが、どんな事業にどれくらいのお金がかかるものなのか。現場を見た方が、寄付の金額を決めやすい。

―それに…。

資料に載っている写真、キラキラとした瞳の子供たちや、夢に向かう若い起業家たちの弾けるような笑顔を見ていると、清々しい気持ちになる。ここに行けば、いい気分転換になる気がした。

アフリカの広大な大地に立てば、夫とのこれからのことに前向きになれるかもしれない。浅はかかもしれないけれど、そんな考えも浮かんだ。

私は携帯を取り出し、小川さんに電話をかけた。2コールで、もしもし、という声が聞こえた。


「神崎です」というと、分かってますよ、登録してありますから、と小川さんが笑った。その軽口を私も笑ってかわして、本題に入る。

「資料全て、読ませていただきました。それで、やはり最初に良いと思った団体にしようと思うのですが、視察ができるとおっしゃってましたよね?金額を決める前に現場......


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