200億の女 Vol.14

「あなたの奥さんは魅力的だ」。他の男から知らされた、夫も知らない妻の意外な一面

騙されたのは女か、それとも男か?
「恋」に落ちたのか、それとも「罠」にはまったのか?

資産200億の“恋を知らない資産家の令嬢”と、それまでに10億を奪いながらも“一度も訴えられたことがない、詐欺師の男”。

そんな二人が出会い、動き出した運命の歯車。

◆これまでのあらすじ

詐欺師の罠をかわしたかに見えた智だったが、仕事の大舞台でのトラブルを詐欺師に救われた智は、ついに男に心を許してしまう。そして夫との関係が悪化する中で、ついに詐欺師に投資の話を持ちかけられるが…。


「あ!良かった、間に合った!」

打ち合わせを終え、小川さんと一緒にエレベーターを待っていた時、後ろから聞こえた声に、私はドキッとしながら振り返った。

富田だったからだ。

にこやかに手を上げた小川さんに、富田がにこやかに近づいてくる。

「神崎さん、そんな心配そうな顔をなさらなくても大丈夫ですよ。今日ここにくることは、彼女に事前に伝えていたので。あ、もちろん、打ち合わせの内容は漏らしていませんのでご心配なく」

小川さんは、小さな声でそう言って笑った。情報の漏洩など心配してはいなかったけれど。

―そんなものなのかしら。

私と小川さんの前にたどり着いた富田は、お疲れ様です!といつものように、明るく声をかけてきた。

「打ち合わせ、無事に終わられました?」

それに私が頷いて答えると、良かったです!と笑って、続けた。

「小川さんと、ランチに行ってきてもいいですか?」

時計を見ると、12時を回っていた。急ぎで頼みたい仕事もないし、止める理由などない。私が、もちろんどうぞ、と言うと、富田ではなく小川さんが答えた。

「では、富田さんを少しお借りしますね。視察の件を含めて、資料を読まれた後のご指示をお待ちしています」

小川さんの言葉が終わったタイミングで、ポーンとエレベーターの到着を知らせる音がした。下りだ。私が2人を促すと、1時間以内には戻ります!と言った富田が、小川さんとエレベーターに乗り込んだ。

ドアがしまる瞬間、会釈してくれた2人を見送った直後、またポーンという音がして、今度は上りのエレベーターが到着した。

それに乗り込みながら、私は小川さんから、打ち合わせをしたいと連絡が来た時のやりとりを思い出す。

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