婚約破棄 Vol.5

「彼、他に女がいたの…?」男のためにキャリアを捨てた結果、フリーターになってしまった女の悲劇

女にとって、人生で最も幸せなときと言っても過言ではない、“プロポーズから結婚まで”の日々。

そんな最高潮のときに婚約者から「別れ」を切り出された女がいる。

―この婚約は、なかったことにしたい。全部白紙に戻そう。

澤村麻友、29歳。

夫婦の離婚とも、恋人同士の別れとも違う、「婚約解消」という悲劇。

書類の手続きもない関係なのに、家族を巻き込み、仕事を失い、その代償はあまりにも大きかった。

ーさっさと忘れて先に進む?それとも、とことん相手を懲らしめる?

絶望のどん底で、果たして麻友はどちらの選択をするのか?


婚約破棄のショックで酔いつぶれた翌日、ついに事実を両親に告げた。どっと疲れた麻友に、因縁の男・吉岡誠司から電話がかかってくる。

昨晩、麻友の部屋に行ったと告げる吉岡だが、一体何があったのか思い出せない麻友はパニックに陥るのだった。


「吉岡さんは、どうして弁護士を目指そうと思ったんですか?」

助手席の麻友は、運転席の吉岡に半分背中を向けて、窓の外を見ながら聞いた。

結局家まで送ってもらうことはせず、近くでお茶をしようと麻友は提案したのだ。吉岡の行きつけの店まで車に乗ったものの、昨夜の話に触れるのが怖く、関係ない話ばかりしてしまう。

吉岡は、とてもつまらない話だと前置きした上で「祖父も父も兄も弁護士なんです。だから僕も自然と」と話す。吉岡の自宅は二つあると言う。事務所近くの赤坂のマンションと、親から受け継いだ逗子の別荘だと語った。

「仕事のない週末はほとんど逗子で過ごしています。サーフィンが趣味なので。親はヨットやクルージングが好きで海の近くに別荘を保有していたのですが、僕はそっちの方はそこまで」

「意外です。その恰好も、この車も正直驚きました…」

もちろん普段は、当然スーツ姿しか見たことがない。まさか私服がTシャツにハーフパンツにサンダルだとは思いもしなかった。愛車がハイエースだなんて、誰が想像しただろう。

「サンダルとハイエースだなんて、意外でしたか?まあ、湘南スタイルということでご容赦ください」

吉岡のことは、頭の固いインドア派のエリートだと決めつけていたので、衝撃は大きい。ただ、こうしてみると引き締まった日焼けした体にラフな装いがよく似合い、年相応の26歳の若者なのだなと実感させられる。

あまりにもプライベートな姿を見せつけられて、少々気恥ずかしささえ感じていた。

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