立場逆転 Vol.3

独身女が子持ち主婦のSNSから感じる、上から目線のメッセージとは

結婚する気のない男


高級バーに漂う雰囲気は、知り合って間もない男女の距離をぐっと近づけてくれる。

私たちの会話も、食事の時よりぐっと、お互いのより深い部分を探り合うものに変わっていった。

そして、話の流れが“これまでに結婚を考えた相手がいたか”という話題になった時のこと。


「結婚する気はないんだよね、俺」
「え…?」

−今、なんて言った?

あまりにも自然に、しかし予想外の言葉が飛び出し、その刹那、私は彼のセリフをすぐに理解できなかった。

「結婚する意味というかメリットが、俺には理解できなくて」

私の戸惑いをよそに、彼は淡々とした口調で繰り返す。そして至極当然の理屈だとでもいうように言葉を続けるのだった。

「お互いに意志を持って一緒にいれば、別に結婚とかって契約で縛る必要がないと思うんだよね。俺は子どもが欲しいわけでもないし、女性にも家にいて欲しいとか、子どもを育てて欲しいなんて思わない。お互いに自立して、刺激しあって、自由に楽しむ人生の方が俺にはよっぽど魅力的だからさ」

おそらく彼には、確固としたブレない信念があるのだろう。自身の結婚観について、語り慣れた様子で流暢に話す宇野の言葉は、淀みなく、明快である。

しかし彼が見せる“一切の迷いはない”という潔い態度が、私の心をグサグサと突き刺した。

いや別に、私だって、結婚を焦っているわけじゃない。

お互いに自立し、刺激しあい、自由に人生を楽しむことにも賛成だ。

けれど…結婚の可能性がゼロの恋を始めてしまって良いものか。最初から「絶対に結婚しない」と言い切られてしまうのは、何か違わないだろうか…?

久しぶりに感じる高揚に浮かれ、期待で大きく膨らんでいた胸は急速に萎んでいく。

結局その夜、私はモヤっとした感情を拭い去れないまま、宇野とのデートを終えたのだった。


“同窓会ではどうも!”
“さっそくだけど、近々食事行きませんか”

深夜に宇野と別れ、自宅のある麻布十番までタクシーに乗ると、初恋の男・宮本輝之から誘いが届いていた。

15年ぶりに再会した私に、「こんな美人久々に見た」という賞賛をくれた宮本くん。

ジャニーズ系の甘い......


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