200億の女 Vol.8

女心を巧みに操って、2億円を騙し取ったと言われる男の、現実離れした言い訳

騙されたのは女か、それとも男か?
「恋」に落ちたのか、それとも「罠」にはまったのか?

資産200億の“恋を知らない資産家の令嬢”と、それまでに10億を奪いながらも“一度も訴えられたことがない、詐欺師の男”。

そんな二人が出会い、動き出した運命の歯車。

200億を賭けて、男と女の欲望がむき出しになるマネーゲームはやがて、日本有数の大企業を揺るがす、大スキャンダルへと発展していく。

男が最初の駒に選んだのは、令嬢の部下だった。男の計画通り…令嬢はジワジワと追い詰められたように見えたが、簡単には騙されず男を圧倒する。そして、令嬢のには、彼女が知らない秘密があった。


『神崎智さま。あなたのご主人の大輝さんは、あなたを裏切っています』

『出会ったときから今まで、ずっとあなたを騙している』

『あなたたちの結婚は偽物で、彼の打算的なものだ。彼はあなたが思っているような人間ではない』

―抽象的ね。

会社のデスクに到着したと当時に、携帯が3回連続で鳴り、送られてきたのはショートメール。送り主の番号には見覚えがないが、まず、このメールの狙いが読めないことの方が気になった。

『夫の裏切り』を知らせる密告メールとして、例えば夫と女性の浮気現場の写真など、はっきりとした物証が送られてきたとしたら、その送り主は、浮気相手の女性なのかも、というように発信者のシルエットが想像できる。

そしてその狙いは、私と夫を別れさせたいか、夫への嫌がらせか…というように、絞っていくことができるのだけれど。

―このメールの送り主の目的は?

いかに人を疑うことが癖の私でも、彼が私にしてくれたこと、その事実への感謝は深い。出会ってから今までの、彼と積み重ねてきた、その穏やかで優しい重みは私にとって多分、今一番大切なものだ。

私が世界で一番疑ってはいけないのは、夫だと分かっている。だから、証拠もないまま夫が裏切っていると言われても、心が揺れることはない。けれど、ただのイタズラメールと通り過ぎるには、気持ちが悪い。

とりあえず発信元の番号を調べてもらおうと、探偵に連絡するため携帯を持った瞬間、それがまた、手の中で震えた。

4通目のショートメールだった。

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