ロマンスが恋しくて Vol.2

「子ども、産みたい…?」誕生日に絶望感を抱いた独身の女が、“女の本能”で感じた欲求とは

「私、この間クリニックで、卵巣年齢を検査してきたのよ」

「ら、卵巣年齢…」

彼女が受けたのは、AMH検査と呼ばれる血液検査で、卵巣内に残っている卵の数を調べる検査らしい。恵子は、とりあえず現状を確認してから、あらためて今後の人生計画をたてようかと思い、不妊治療で有名なクリニックに行ってみたという。

しかしその病院で、見ないようにしていた真実を突き付けられることになった。

「最初に問診票を書かされたんだけどね、そこに当たり前のように夫について記入する欄があって…。それで思い知らされたのよ。結局、妊娠はひとりじゃできないんだから、まずは現実的に夫となる人を早く探さなくちゃいけないんだって」

ー恵子も、やっぱり体のことや子供のこと、色々考えてるのね…。卵巣年齢の検査、か。

真理子は急に胸がギュッと締め付けられたような気がしたが、その感情の正体を自分でも直視することができなかった。

ただ、41歳という歳の重みをずっしりと感じたのだけは確かだ。

30歳の誕生日のときは、20代が終わってしまうとまるでこの世が終わってしまうかのように大騒ぎしたけれど。

ーあんなの、今思えば可愛いものだったわ。

41歳。自分の人生の先が見通せるほどの歳になり、ずっと目を背けてきた問題ともこうして向き合わないといけない、と警告を鳴らされているかのような気がした。


「ところで真理子、最近いい案件ないの?」

「うーん、この間お食事会で出会った、外資コンサルティングファーム勤務の早川さんって人から誘われてる。ちょっと自信家オーラが漂っていて、そんなにタイプじゃないけど…とりあえず行ってくる」

「相変わらずそんな上から目線なこと言ってるの?誘ってくれる人がいるなんてラッキーよ」

「そうだよね…」

わかっている、わかっている。かつては売り手市場にいて、誘ってくる男に対しては強気でいられたはずだったのに、一体いつから立場逆転になってしまったのだろう。

そもそも、この歳になると出会いはどこにあるんだろうか。食事会の頻度は激減しているし、趣味活動ならと思いワインスクールに通ったり、朝活なんかもしたけれども出会えなかった。

そうこうしているうちに、独身男性が周りにほとんどいなくなり、今は既婚者という地雷を踏まないように歩くだけで精一杯だ。

そのうえ、恋の仕方を忘れている。元カレと別れて5年も経ってしまいトキメクようなこともない。たまにあるデートは、義務感で行くことさえある。

ーこんなモヤモヤを吹っ飛ばしてくれる、誰かに出会いたい。

そんな話をしていたら、急に社用携帯に電話がかかってきた。画面を見ると、会社の後輩・ひなのからだ。

今日は土曜だというのに、何かあったのだろうか。嫌な予感がして席を外して電話に出ると、ひなのの悲痛な叫び声が聞こえた。

「真理子さん!!私、どうしよう!大変なんです…!!!」

この記事へのコメント

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黒田さん素敵!独身かな?
2019/07/02 05:1199+返信4件
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もう黒田さんで決まりじゃないの?
2019/07/02 06:2799+返信2件
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確かに素敵と褒められてますが、何見惚れてるの?は勘違いかと思いました。。
2019/07/02 06:0285返信24件
No Name
ストーリーとは関係ないけど。
月曜日のプレゼン資料、土曜日の夕方くらいに出来上がるのなら最後のデザート、ゆっくり味わっていってもよかったのでは・・と思った。
あの書きぶりでは日曜日も出ないと間に合わないくらい大変なのかと思ったら1時間ほどでできて拍子抜けしちゃった。
2019/07/02 07:2466返信5件
No Name
"SATCメンバーなんていって4~5人でよく集合していた"…当方34歳ですが、やってたやってたーって懐かしい気持ちになりました!
今は各々のステータスが変わっていき、昔みたいに話も合わなくなり、そもそも会うことも減ったので、映画でのあの4人みたいに、お互い立場が変わっても色々な話ができる関係って素敵だなぁと改めて思いました。
2019/07/02 05:3856返信6件
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