若くしてポルシェを手に入れた、一般家庭出身の男
「彼と出会ったのは学生の頃。私は札幌から上京後、京王線沿いに1人暮らしをしていて、彼は実家暮らしでした。彼の実家ですか?神奈川の郊外の一軒家で…お父さんは公務員だと聞いています。」
普通の家庭で育った1つ年上の彼は、小さい頃からポルシェに憧れを持っていて「いつかポルシェに乗るんだ」と幼い頃からコツコツと貯金をしていたそう。
そして彼は社会人2年目にして、ついにポルシェのエントリーモデルであるボクスターという名の中古車を300万円弱で手に入れた。
白いボディにベージュ色のシートのオープンカー。ポルシェだとすぐに分かる愛嬌のある丸目のフロントライト。そのボクスターという彼が選んだ車を、彼女はひと目で気に入ったという。
「でも…。そのボクスターというポルシェが、彼の人生を大きく変えてしまったのです」
当時、彼の仕事は個人医院をメインの営業先とするMR。
彼が中古のポルシェを手に入れたという話をすると、今まで不愛想だった医師達が「今時の若者で車が好きとは珍しい」と驚きながらも笑顔で歓迎してくれたという。
そして営業先のいくつかの医院でとても可愛がられるようになり、医師達に誘われ、週末はツーリングというポルシェなどの外車ばかりを連ねて走るドライブに行くようになっていた。
その集まりの中で彼は一番若く年下というのもあり、自らツーリングのルートを企画したり、持ち前のフットワークの良さを活かしてメンバーと連絡を取り合い、日程や食事の場所を調整したりするようになった。
「もともと私たちは車を持たない学生の頃から、ポルシェを買ったらどこをドライブしょうかと旅行誌を見て2人で盛り上がっていたんです。
私も彼の企画に合わせて、広い駐車場を持つ素敵なお店をネットで探したり、ツーリングの様子を写真に撮ってデータにして皆に配ったり…そうやって一緒に楽しんでいました」
2人が企画したツーリングは仲間に好評だった。
そして彼は持ち前の明るさと礼儀正しさから、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに乗る年上の医者や経営者達にとても重宝がられるようになっていったという。
「そんなある日、彼はフェラーリに乗るIT機器のリース会社を経営する方に、うちの会社にこないか?と声を掛けられたんです」
そして転職後、彼は新しいステージでめきめきと頭角を現した。
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