元・夫婦 Vol.6

「もうこれ以上、隠し通せない…」。赤の他人に暴露された、元夫婦の過去

幸い、と言えるのか、その後も関係者への挨拶や説明事項が途絶えず、美月と小春が2人きりになる時間はなかなか訪れない。

結局落ち着くタイミングを得ないままホテルのレストランでの会食になり、和気あいあいとした時間が過ぎてゆくのだった。

会食の途中で、美月は亜紀に耳打ちされる。

「美月さん、ごめんなさい。あの、私、本当に何も知らなくて。乾さんから説明されて…」

「いえ。こちらこそすみません。驚かせてしまいましたね。こんな展開になってしまい、自分でもびっくりなんですが。そういえば…」

ふと裕一郎の姿が見えない事に気付いた美月は、あたりを見回す。すると亜紀が、察したように声をかけた。

「あ、乾さんですか?部屋で少し休んでから帰るって言っていました」

「そうですか」

病み上がりの小春のこともそろそろ部屋に戻そうと、挨拶をしてからレストランを出た。

全てを話すタイミングは今しかない。

「あのね、小春」

美月は意を決して呼びかけたのだが、それに対する小春の反応は意外なものだった。

「はぁ。今日はもう疲れちゃった。昨日もほとんど寝てなかったし。明日も早いし、すぐに寝ますね。おやすみなさい」

小春は、唐突に笑顔を見せ手を振ると、そそくさとコテージに入った。美月は「おやすみなさい」と返すことしかできず、再び頭を抱える。

―あの反応、どういうことなの?

しかし、彼女は病み上がりで、とにかく今日のところは早く休ませた方が良いのは確かだ。

美月は一息つこうと、夜空を見上げた。


いつの間にか、満点の星空が広がっている。

「きれい…」

思わず呟いた。

都会では決して見ることができない圧巻の風景。

あまりの迫力に息を飲む。その美しさに、なぜか涙が出そうになった。

でも、なぜだろう。キラキラと輝く眩い星空を見ていると、マンハッタンの夜......


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