モテる男 Vol.6

「私、遊ばれてる…?」モテる男の部屋で感じた不信。そっと開けた戸棚の奥で見つけた物とは

「香織ちゃん…?ああ、あの子か。小動物系の可愛い子」

可愛い、と言った勇輝の言葉に再び胸を抉られた。いや、確かに香織は可愛い。美女揃いで名高いうちの会社で、部署を越えて話題になるくらいなのだから。

事実だから仕方がないが、勇輝にだけは香織を褒めて欲しくなかった。

複雑な表情を浮かべた私に何かを悟ったらしく、勇輝はほんの少し慌てた様子で言葉を続けた。

「バーベキューのあと誘われて、食事くらいは行ったけど。もちろん摩季ちゃんと付き合う前の話」

誘われたから行っただけだと強調する口ぶりだった。

「それだけ…?」

「うん。可愛い子だけどさぁ、なんか面倒そうじゃん?ああいうの好みじゃない」

なるほど。香織の曲者っぷりを見透かすとは、さすがモテ男のセンサーは一級品。

なにはともあれ「好みじゃない」と断言した勇輝の言葉は、私をつかの間安心させた。だが本当にそれだけなのだろうか。

食事に行っただけで、香織があんな口をきくものだろうか。

「あれ、もしかして疑ってる?」

考え込んでしまった私を覗き込む勇輝は、拗ねた様子で唇を尖らせている。

「いや、そういうわけじゃ…」
「じゃあ、もうこの話は終わりね」

歯切れの悪い言葉を遮り、勇輝は私の肩を強引に抱いた。

「ねぇ、摩季ちゃん。もっと俺のこと信用して?」

ああ、ダメだ。まっすぐな目でそんな風に言われたら…私はこくり、と頷く他ない。

どうして結婚したの…?


週末の午後、私は学生時代の友人・裕子と表参道にいた。

電撃婚を決めた花苗に結婚祝を買おうと、期間限定オープン中のティファニー@キャットストリートにやってきたのだ。

しかも裕子が執念でWEB予約をとってくれたおかげで、ギフトのペアタンブラーを購入した後は『ティファニーカフェ』でお茶することまで叶った。

そしてテンションが上がり浮かれた私はつい、ポロリと話してしまったのだ。


「やっぱり相手は、チャラ商社マンだったか」

わかりやすく呆れ顔を浮かべた裕子を見て、私はすぐに後悔した。やはり話す相手を間違えたかもしれない。

勇輝との出会いから現在、そして香織との一件を聞き終えると、裕子は呆れを通り越し説教モードに入りはじめた。

「ほんと摩季ってモテる男が好きだよねぇ。過去にあれっだけ苦労したのに…」

裕子の言葉で、これまで私が散々振り回され続けたモテ男たちの顔が蘇った。

嘘をつかれたこと、裏切られたこと数知れず。消えたと思えば現れる女の影に怯え、消耗の末に自滅した恋もある。

しかし過去の男たちと勇輝は違う。別人だ。

「いやでも、勇輝くんはモテるけどだらしないわけじゃない…と思うし。それに結婚したり子どもができたら意外に落ち着くタイプかもしれないし…」

「いや、それはない。女好きは治らないし、遊ぶ男は永遠に遊ぶって」

弁明を試みた私の言葉は、途中で正論に遮られてしまった。

「ねぇ摩季。いい歳して男に振り回される女とか、正直痛いよ。今はまだいいとしてもあっという間に年取るんだから。それに摩季は結婚したいんだよね?だったら付き合う相手が違うんじゃない」

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